医工融合技術研究所

Integrated Technology Research Center of Medical Science and Engineering

令和2年度医工融合技術研究所の活動報告

令和2年度の主な活動

  1. 「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」の開催(第22回/第23回/第24回)
  2. 「医工連携研究フォーラム」(開催中止)
  3. 「医工連携に基づいた医療機械の創製」オナーズプログラム個別テーマと参加学生

1. 「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」の開催

 本年度は新型コロナ拡散防止の観点から,会員を一か所に集め対面で講演会を開催することが難しい状況にあったため,関連企業からの講演は中止し,医学部教授からの講演に限定して,講演内容等を動画にまとめ,メンバーシップ会員企業ならびに研究所員に送付することとした.

第22回「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」


■プログラム:
講演
「SGLT2阻害剤の腎保護メカニズム」
金沢医科大学・医学部,糖尿病内分泌内科学,古家 大祐 教授

■内容:

 わが国は高齢化社会になってきたため,健康長寿の確保が求められている.そのような万能の薬は,この世の中にはないのが現状である.そこで,1935年から明らかにされてきた長寿の秘訣が,カロリー制限である.特に21世紀に入り,カロリー制限によって長寿になる鍵分子が明らかにされてきた.本講演では,ヒトにおいても鍵分子のサーチュインが活性化して,健康長寿になる可能性を紹介していただいた.
 また,2014年から新たな糖尿病治療薬として登場したSGLT2阻害薬が心腎保護作用を発揮して健康長寿に貢献してきた内容も紹介していただいた.




第23回「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」


■プログラム:
講演
「脳神経外科手術における神経内視鏡下治療の役割と今後の展望」
金沢医科大学・医学部,脳神経外科学,林 康彦特任教授

■内容:

 脳神経外科の治療にも非侵襲性(less invasiveness)が求められるようになってから,かなりの時間が経っております.その非侵襲性の最も象徴的なものが,神経内視鏡の導入です.神経内視鏡が本邦で脳神経外科診療に用いられてから20年以上が経ちますが,その間の内視鏡の進歩は目を見張るものがあり,画像も4Kが導入されに至り画質も格段に向上しています.また脳神経外科医の技術向上もまさに日進月歩であり,その適応とされる疾患も著しく拡がってきています.脳神経外科手術における神経内視鏡の適応も下垂体腫瘍に留まらず,頭蓋底、脳室内さらには眼窩内の腫瘍の摘出にまで拡がってきています.
 内視鏡とは既知の通り人体内部を観察する医療機器であり,本体に光学系を内蔵して,先端を体内に狭い入り口から挿入することにより内部の映像を手元でみることができるものです.これまでは診断のための観察や,簡単な手術(生検術など)をいかに低侵襲で行えるかということに脳神経外科領域においても,その役割の位置付けがなされて来ました.近年では画像を含めた器具の進歩や技術の向上が後押しする発想の転換により,低侵襲で内視鏡という特性を活かした手術で今までは脳の深部で到達が非常に困難な部位にも到達,大きな腫瘍までもが内視鏡であるがゆえに摘出が可能となりさらなる効果を上げるようになっています. 神経内視鏡手術は今後も神経内視鏡自体や画像を含めた周辺機器の開発も伴い,さらに適応が拡大する有効な手術方法であるが,それを取得するためにはさらなる解剖の知識と技術の向上に努める必要があり,それが本当の非侵襲さに繋がるものと考えています.との内容であった.




第24回「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」


■プログラム:
講演
「高齢者における腎泌尿器疾患について」
金沢医科大学・医学部,腎臓内科学,横山 仁 教授

■内容:

わが国では65歳以上の高齢化率は2030年には31.6%になると予測されており,これに伴う高齢者の慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)が増加している.内容は次の2つからなる.

① 加齢による腎臓病の背景と基本病態:腎臓の加齢は,ネフロン数減少と関連し,腎の寿命は約120年と推定されている.この背景として加齢による遺伝子(二重鎖DNA)障害の関与が示唆される.さらに高齢者においては,血管性病変や薬剤性腎障害が増加している.これは加齢とともに高血圧や糖尿病の合併に伴う腎機能の経時的な低下と過剰の薬剤投与も関与している.腎機能低下時の薬物投与量の補正や合併症予防が必要であり,腎機能・体格・性別等による薬物投与量の自動補正・合併症予防システムが医工連携の成果により開発される事を期待している.

② 日本における高齢者腎臓病の疫学と高齢者ネフローゼ症候群:わが国の特定難病に指定されている難治性であるネフローゼ症候群,急速進行性糸球体腎炎や高齢者のIgA腎症に加えて,二次性の糖尿病性腎臓病やアミロイドーシスなどが増加している.さらに,高齢者では血管あるいは間質病変が増加し,現在健診で実施されている一般検尿のみでは検出しえない場合があり,早期の腎障害を検出するシステムの開発も必要と考えられる.

今後ますます高齢化して「人生100歳時代」を迎えるわが国において,高齢者に優しい腎代替療法のハード面およびソフト面での開発も課題と考えられる.




2. 医工連携研究フォーラムの開催(開催中止)

過去11年間における 医工連携研究フォーラム内容のまとめを作製
DVD媒体におけるまとめの作製し、メンバーシップ会員企業ならびに研究所員に送付することとした.

3. ポスターセッション

「医工連携に基づいた医療機械の創製」オナーズプログラム個別テーマと参加学生
看護学科関連テーマ
① 糖尿病患者における定期注射管理ボックスの開発
高野教授,紺家金沢看護大学教授,4ER2青塚達也,3EM1酒井悠平

消化器内科関連テーマ
② カプセル内視鏡の開発(非常脱出機構の提案)
高野教授,中村医科大学教授,3EM3寺澤大稀,2EM2高木元樹

整形外科関連テーマ
③ 高純度窒化ケイ素系セラミックス材料における生体内アンモニア溶出量の検証
大嶋教授,新谷教授,石垣金沢医科大教授,1M1丹保明日斗,3EM1松宇星果, 3EM1上野龍馬,
2EM1柳澤光輝, 2EM1服部浩輝,2EM1難波立佳

④ DLC被膜を施した人工足場材料が骨芽細胞遺伝子に及ぼす影響
新谷教授,石垣金沢医科大教授,兼氏金沢医科大教授,1M1魚津隆介,2EM3堀井 瞭

⑤ 光による骨萎縮改善に関する研究
長沼教授,兼氏金沢医科大教授,2EM3冨田拓海, 3EM1木津光雅,3EM2櫻井翔太

その他の領域テーマ
⑥ 生分解性高分子を用いた組織再生用足場材料の開発
谷田講師,大澤教授,石垣金沢医科大教授,4BC1小泉樹奈,4BC1武重里奈,3BC1山城真輝,
1BC1奥濃麻夏,1BC1篠原花奈,1BC1野口結貴,2B1納 祐一,1B1國本昂大

⑦ 患者にやさしい脳動脈瘤塞栓コイルの開発
瀬川教授,2M1城倉旭世

⑧ 新規な二次代謝物群の抗菌・抗カビバイオフィルム破壊活性の評価
小田教授,4BB1佐藤紅空,4BB1澁谷駿太,4BB2坂田大将,3BB1上野拓夢,3BB1柄澤苑美,
3BB1吉田和紗,3BB1大村 希,3BB2井上諒人,2BB1小林美潤,2BB2社方 陸

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