令和元年度医工融合技術研究所の活動報告
令和元年度の主な活動
- 「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」の開催(第19回/第20回/第21回)
- 「医工連携研究フォーラム」(開催中止)
- 「医工連携オナーズプログラム参加学生による成果のポスター発表会」
1. 「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」の開催
第19回「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」
■日時: 令和元年6月21日(金) 14:00~17:00
■場所: 金沢工業大学 やつかほ リサーチキャンパス 62号館201号室 (石川県白山市八束穂3-1)
マルホ発條工業(株)医療機器部品事業部,人見泰行 次長 同 事業部,井村隆行 氏
ジョンソン&ジョンソン(株) トラウマ&ジョイントリコンストラクション事業部 栗原 大 シニアマネジャー
金沢医科大学・医学部 皮膚科学,望月 隆 教授
1件目は「ばね職人の発想で簡便な治療を可能にした,新しい巻き爪矯正具の開発」と題して,マルホ発條工業(株)医療機器部品事業部,人見泰行 次長と同 事業部,井村隆行 氏より講演を頂いた.足趾に多く見られる過度に彎曲した爪は一般に「巻き爪」と呼ばれ,これの治療には、超弾性合金ワイヤを爪に縫い付ける矯正治療が主流である.これは保険が適用できないことや手技や製品に関する情報が少ないことから、実施は一部の医療機関に限られるのが現状である.マルホ発條工業㈱では,これまで培った金属ばねの製造技術、金属加工技術を応用して,医療機器業界へ進出した.巻き爪矯正具の開発は2013年に着手し,超弾性合金を利用するものからTi-Ni合金へと改善した.これは,1. 充分な矯正効果を得られる.2. 簡単に装着できる.3. 安全性が高いなどの利点を有する.2018年10月にPMDA届出を行い,商品名「巻き爪マイスター」として、パイロット販売中であり、今後の販路拡大が試みられていることを明らかとされた.
2件目は,令和時代における医療機器業界の課題と今後の可能性」と題してジョンソン&ジョンソン 株式会社の 栗原 大氏より話題提供頂いた.内容は人生100年時代、2025年問題、地域包括ケアシステム、働き方改革、人事制度、そして、AI、IOT、VRの活用、医療マーケティング、患者立脚型システム、若手医師への教育システム、インバウンド、医療ツーリズム、物流問題など多岐にわたる問題がある.長年の医療機器メーカー勤務し,そして医療経営学修士の立場からの課題と今後の可能性について講演された.
3件目は,金沢医科大学・医学部・皮膚科学,望月 隆教授より「爪真菌症の病型分類と病態にかかわる形態学的指標の検討」と題して講演頂いた.“皮膚は内臓の鏡”ともいわれ、皮膚病変は内臓疾患に関連していることが知られています。本講義では特に皮膚病の中でも真菌が関わる病態について、この原因菌種の同定法や感染経路の解明、さらに集団感染の実体を把握するための分子疫学的検討についても紹介頂いた.
以上の講演より,医療製造を目指した企業や今後参入を考えている企業から活発な質問が噴出し,興味の深さを感じ取ることができた.
1. 「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」の開催
第19回「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」
■日時: 令和元年6月21日(金) 14:00~17:00
■場所: 金沢工業大学 やつかほ リサーチキャンパス 62号館201号室 (石川県白山市八束穂3-1)
マルホ発條工業(株)医療機器部品事業部,人見泰行 次長 同 事業部,井村隆行 氏
ジョンソン&ジョンソン(株) トラウマ&ジョイントリコンストラクション事業部 栗原 大 シニアマネジャー
金沢医科大学・医学部 皮膚科学,望月 隆 教授
1件目は「ばね職人の発想で簡便な治療を可能にした,新しい巻き爪矯正具の開発」と題して,マルホ発條工業(株)医療機器部品事業部,人見泰行 次長と同 事業部,井村隆行 氏より講演を頂いた.足趾に多く見られる過度に彎曲した爪は一般に「巻き爪」と呼ばれ,これの治療には、超弾性合金ワイヤを爪に縫い付ける矯正治療が主流である.これは保険が適用できないことや手技や製品に関する情報が少ないことから、実施は一部の医療機関に限られるのが現状である.マルホ発條工業㈱では,これまで培った金属ばねの製造技術、金属加工技術を応用して,医療機器業界へ進出した.巻き爪矯正具の開発は2013年に着手し,超弾性合金を利用するものからTi-Ni合金へと改善した.これは,1. 充分な矯正効果を得られる.2. 簡単に装着できる.3. 安全性が高いなどの利点を有する.2018年10月にPMDA届出を行い,商品名「巻き爪マイスター」として、パイロット販売中であり、今後の販路拡大が試みられていることを明らかとされた.
2件目は,令和時代における医療機器業界の課題と今後の可能性」と題してジョンソン&ジョンソン 株式会社の 栗原 大氏より話題提供頂いた.内容は人生100年時代、2025年問題、地域包括ケアシステム、働き方改革、人事制度、そして、AI、IOT、VRの活用、医療マーケティング、患者立脚型システム、若手医師への教育システム、インバウンド、医療ツーリズム、物流問題など多岐にわたる問題がある.長年の医療機器メーカー勤務し,そして医療経営学修士の立場からの課題と今後の可能性について講演された.
3件目は,金沢医科大学・医学部・皮膚科学,望月 隆教授より「爪真菌症の病型分類と病態にかかわる形態学的指標の検討」と題して講演頂いた.“皮膚は内臓の鏡”ともいわれ、皮膚病変は内臓疾患に関連していることが知られています。本講義では特に皮膚病の中でも真菌が関わる病態について、この原因菌種の同定法や感染経路の解明、さらに集団感染の実体を把握するための分子疫学的検討についても紹介頂いた.
以上の講演より,医療製造を目指した企業や今後参入を考えている企業から活発な質問が噴出し,興味の深さを感じ取ることができた.
第20回「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」
■日時: 令和元年8月2日(金) 14:00~17:00
■場所: 金沢工業大学 やつかほ リサーチキャンパス 62号館201号室 (石川県白山市八束穂3-1)
富士フイルムメディカル株式会社 内視鏡事業部 技術部 営業技術グループ 関 正広 氏
金沢医科大学 医学部 血液免疫内科学(金沢医科大学病院 血液リウマチ膠原病科) 正木 康史 教授
1件目は「軟性内視鏡 画像強調観察技術 BLI・LCIのご紹介」と題し,富士フイルムメディカル株式会社 内視鏡事業部 技術部 営業技術グループ関 正広 氏からご講演頂いた.従来の内視鏡はキセノンランプを光源としているが、その白色光による観察では、消化管粘膜表面の微細な変化を捉えることは困難だといわれている.富士フイルム内視鏡システム「LASEREO(レザリオ)」は、2種類のレーザー光源を搭載しており、これらの光の発光強度比を変えて画像処理することで、目的に応じた画像を生成することが可能であり,その観察モードBLI、LCIについて紹介された.
2件目は,「難治性悪性リンパ腫の診断と治療の進歩、および今後の課題」と題し,金沢医科大学 医学部 血液免疫内科学・正木 康史 教授から,ご講演いただいた.
悪性リンパ腫は、リンパ細網系組織より発生する非上皮系悪性腫瘍の総称で、日本では年間29,400人程度が発症し、生涯で発症するリスクは男性で2%、女性で1%(男性は57人中1人、女性は70人中一人)程度である。他の固形癌に比べると希少癌であるが、血液悪性腫瘍の中では最も頻度が高い(白血病の約2倍)。一口に悪性リンパ腫と言っても、細かく分類されており、最新のWHO 4版+では約80種類に分類される。
この分野の診断および治療技術の進歩は著しく、特に新薬の登場によって予後は目覚ましく改善してきている。しかしながら、病型によっては未だ予後不良の一群があり、それらをいかに改善するかが先生のライフワークであると述べられている。
未だ予後不良の悪性リンパ腫の病型として、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経原発悪性リンパ腫を取り上げ、それらの診療の進歩と限界、今後の展望についても述べられた
第21回「医工融合技術を生かした医療機器の創製に関する研究会」
■日時: 令和元年11月16日(金) 14:00~16:30
■場所: 金沢工業大学 やつかほ リサーチキャンパス 62号館201号室 (石川県白山市八束穂3-1)
キッセイコムテック株式会社 公共・医療ソリューション事業部
医療第2システムソリューション部営業グループ 田口 勇次郎 氏
金沢医科大学・看護学部・公衆衛生看護学 中田 ゆかり 講師
講演1では、「活動量計による睡眠計測と、それを用いた研究発表のご紹介」と題し,キッセイコムテック株式会社 公共・医療ソリューション事業部 医療第2システムソリューション部営業グループ 田口 勇次郎 氏からご講演いただいた。同社では、活動量計を用いた睡眠計測システムを開発・販売しており,本講演では、睡眠計測システムの紹介とこの計測の原理・構造についてご説明頂いた。更に過去に睡眠学会等で同社が発表してきたものの中から4つの研究内容についてご報告頂いた。また、自身も2013年から6年にわたり活動量計を装着し、睡眠計測を継続しており、自身の睡眠解析結果についてもご説明された。
講演2では、「労働者を対象とした睡眠・メンタルヘルスに関する研究」と題して、金沢医科大学・看護学部 中田 ゆかり講師より講演を頂いた.中田先生はは,産業保健師として企業で20年弱経験されたが、当時在職していた企業で2007年ごろからうつ病による休業者や復職者が頻発し、労働者の二次予防・三次予防について研究を開始された。しかし、メンタルヘルスは一次予防が重要だと感じ、最近では睡眠に着目した機器などを活用して、労働者を対象としたさまざまな介入研究を実践してきた。講演内容はこれらの研究についてのご紹介された。
2. 医工連携研究フォーラムの開催(新型コロナウイルス拡散防止による中止)
日時:令和2年2月22日(中止:結果は各大学で共有し,発表内容は開催と同等とみなす)開催予定場所:金沢医科大学 講義棟1F
「日本固有ラン藻由来巨大多糖類『サクラン』のバイオ資源としての可能性とその応用例の紹介」
講師:北陸先端科学技術大学院大学,環境・エネルギー領域産学連携研究員 兼
グリーンサイエンスマテリアル(株)取締役 岡島麻衣子 氏
3. ポスターセッション
「医工連携に基づいた医療機械の創製」オナーズプログラム参加学生看護学科関連テーマ
森本教授,4EM4水野竜也,4EM4秋保裕矢
高野教授,紺家金沢医科大教授,3ER2青塚達也,2EM1酒井悠平
消化器内科関連テーマ
高野教授,中村医科大講師,2EM3寺澤大稀,1EM2高木元樹
整形外科関連テーマ
大嶋准教授,新谷教授,川原金沢医科大教授,川口金沢医科大講師,
2M1吉田 杏,2EM1松宇星果,4EM4丹保明日斗,2EM1上野龍馬,1EM1柳澤光輝, 2EM1市村翔太
新谷教授,兼氏金沢医科大教授,2M1吉田 杏,4EM4魚津隆介
新谷教授,兼氏金沢医科大教授,石垣金沢医科大教授,2M1田中隆斗,2M1上林公大,
4EM1青野茉優,1EM3堀井 瞭
長沼教授,兼氏金沢医科大教授,1EM3冨田拓海2EM1木津光雅,2EM2櫻井翔太
その他の領域テーマ
谷田講師,大澤教授,石垣金沢医科大教授,2B1滝口涼太,2B1遠山 拓,
2B1古西朗夫,2BC1下野賢太,1B1納 祐一,4BC1國本昂大
瀬川教授,1M1城倉旭世
小田教授,3BB1佐藤紅空,3BB1澁谷駿太,3BB2坂田大将,2BB1上野拓夢,
2BB1柄澤苑美,2BB1吉田和紗,2BB1大村 希,2BB2井上諒人,1BB1小林美潤,
1BB2社方 陸
4. 研究プロジェクトの成果報告会
金沢医科大学 石垣靖人
金沢工業大学 田中隆斗,新谷一博,金沢医科大学 石垣靖人,兼氏 歩,川口真史,川原範夫
金沢工業大学 吉田 杏,大嶋俊一,新谷一博,金沢医科大学 川口真史,川原範夫
金沢工業大学 高野則之,浅井健児,金沢医科大学 兼氏 歩
金沢工業大学 小田 忍
金沢工業大学 滝口涼太,古西朗夫,谷田育宏,大澤 敏,金沢医科大学 石垣靖人