ITによる空間情報研究
GISによる古地図の研究
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古地図は科学的な測量法による精度が確保されていなかったため、現代地図に重ねると歪みが認められる。そのため、GIS(地理情報システム)の現代地図上に古地図をオーバーレイすることで地図精度を確保し分析した(GISの操作については、㈱日本海コンサルタントの協力を得た)。その結果、街路および土地区画の正確な位置をとらえることができるとともに、身分別の土地利用について面積の時代変化についても正確に把握することが可能となった。【増田】
武家屋敷のパノラマCG
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NPO法人の金澤町家研究会は、平成27年5月に旧彦三町の下級武士系住宅を入手した。その記念事業の一環として、IT企業の㈱ドゥーコミュニケーションズと共同で、界隈の藩政時代の景観をCGで復原し、インターネットにパノラマCGとして公開した。現在は市街地の小住宅が立ち並ぶ周辺界隈であるが、藩政時代は武家屋敷の長い土塀が連なり、大規模な東本願寺別院の本堂が遠望された。【増田】
町家のパノラマCG
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城下町金沢をCGで復原するプロジェクトの一環として、IT企業の㈱ドゥーコミュニケーションズと共同で、旧河原町の町家のまちなみをインターネットのパノラマCGとして作成した。城下町金沢のCG制作は、歴史を知る上でも、都市景観をデザインする上でも、具体的でわかりやすい資料を提供することができる。町家に加えて、武家屋敷、足軽屋敷、金沢城、寺院なども配置して城下町の全景を再現することが目標である。【増田】
店舗のCG制作
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町家は、昼間は店を開いて商いするのが一般的である。したがって、商店街としてのまちなみ景観を再現するCGが必要がある。今日の店舗とは営業形態が異なるため、史料等にもとづいて復原考証を進めている。【増田】
古今金澤のリリース
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GIS(地理情報システム)の高精度を㈱日本海コンサルタントと共同で活用した城下町金沢の古地図研究の一環として、iPhone用のアプリとして平成27年9月に「古今金澤」をリリースした。IT企業の㈱エイブルコンピュータとの共同開発である。金沢の市街地を歩きながらスマートフォンで350年前の古地図を参照することができる。AR技術(拡張現実)によりGPS(GNSS: 全地球衛星測位システム)の位置情報と連動して正確に古地図を参照し、かつ読むことが困難な「くずし字」の侍姓名などを活字に置き換えて解りやすく認識することができる。最先端技術で歴史散策を支援する一例である。【増田】
延焼シミュレーションによる危険度マップの作成
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かつて城下町であった金沢は、木造密集市街地が集積している。糸魚川大火で見られたように、消防体制が整備された現代でも、最悪の事態を想定しておかなければならない。そのため、国土交通省国土技術政策総合研究所が開発した市街地火災シミュレーションプログラムを共同で活用し、㈱日本海コンサルタントの協力を得て、延焼危険度マップの作成に取り組んでいる。歴史的環境を保全しつつ、防火対策を強化する対策の立案を目指している。【増田】
位置情報を付加した昔の景観写真
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昔の景観が撮影された写真に位置情報を付加し、その写真が撮影された付近に行けばスマホに昔の景観が表示できるプロトタイプシステムを開発した。写真からどの場所で写真が撮影されたかを推定し、現場に赴き位置情報を付加したものである。現在の景観と過去の景観を比較することが容易となり、新しい観光ツールとして利用価値があることを確認した。【徳永】
災害時避難経路の評価
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金沢中心部は、道路幅員が狭く、木造建築やプロック塀などが散在している。そのため震災時は避難経路として利用するには不適格な箇所が散見される。また近年、新幹線開業以来観光客が増加しており、地理に不案内な人が増加している。そのため、災害時に一次避難所まで利用可能な道路を評価した。【徳永】
金沢市観光場所の位置情報実証実験
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衛星測位は人工衛星のデータが遮断されやすい都市部では十分な位置精度が得られない場合がある。その欠点を補うため、準天頂衛星みちびきが開発された。この衛星は天頂付近に長く滞在するため、衛星測位の精度向上が期待されている。金沢中心部の観光地において、準天頂衛星みちびきから得られる位置精度を評価し、観光ツールとして活用可能であるかを評価している。【徳永】