KIT×KAJIMA 3DPrintingLab

CO2を吸収・固定した3Dプリンティングベンチ (English page)

友禅流しをモチーフとしたベンチ

本研究による目的の一つとして、観光資源への一助とする事を挙げておりました。金沢市の協力を得て、求められた安全性、および周辺環境との調和を踏まえたデザインを考慮し、金沢市内の観光にゆかりのある場所である、金沢城のお膝元である外濠公園2号地にベンチを設置しました。

このエリアは金沢城と尾山神社、それらをつなぐ鼠多門橋と金沢市の中でも特に歴史的な「和」の空気を感じることができる場所であり、その雰囲気に調和する設置物として、本ベンチは友禅流しをモチーフとしております。

設置したベンチ
作成したベンチの3次元モデル

使用した材料について

3Dプリンティングに使用する材料として、鹿島建設株式会社らが開発したカーボンネガティブコンクリートCO2-SUICOM(※)を適用します。CO2-SUICOMは、製造過程において大量のCO2を強制的に吸収・固定化させることにより、コンクリート製造におけるトータルのCO2排出量をゼロ以下にできる世界で唯一のコンクリートです。

CO2-SUICOMの概念図

KIT×KAJIMA 3D Printing Labの近傍に「炭酸化養生槽」を設置し、3DPで製作した部材に強制的にCO2を吸収・固定化させることができます。炭酸化養生を終えた部材は、製造過程で排出したCO2量を上回るCO2を吸収することができます。

炭酸化養生槽

本ベンチは、3DPという最先端技術とCO2-SUICOMというカーボンネガティブコンクリートが融合した革新的なベンチです。

※ CO2-SUICOM®
CO2-Storage and Utilization for Infrastructure by Concrete Materials
CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)は、 中国電力株式会社、鹿島建設株式会社、デンカ株式会社の登録商標です。

3Dプリンターによるベンチ設置の経緯

デジタル技術の進展により、社会の様々な場面でデジタル技術が著しい活躍を見せています。その一つである3Dプリンター(以下、3DP)技術は、デジタルデータを基に材料を層状に積重ねる製作技術であり、立体的で複雑なオブジェクトを作ることができます。この技術はモルタルを材料として建設分野にも適用され始めております。デジタルデータにより、自由度が高く、かつ構造的に無駄の少ない製作が可能になり、材料の無駄の低減と環境負荷の軽減が期待されています。

金沢工業大学と鹿島建設株式会社は、以前より建設分野に関して共同研究を重ねておりました。本技術についても2023年5月に共同研究拠点「KIT×KAJIMA 3D Printing Lab」を金沢工業大学やつかほリサーチキャンパスに開設いたしました。ここでは、意匠・構造設計・材料・施工・機械システム・ロボット制御・表面処理・加工・ニーズ開拓等、広範にわたる研究・開発を行っております。

研究所にある3Dプリンター

プリンター動作中

関連リンク(ニュースリリースなど)


関連情報

ベンチを使ったプロジェクションマッピング

KIT×KAJIMA 3DPrinting Labの特長である専門分野融合研究の一環として、3DPrinterで作成したベンチ(建築/土木/機械/ロボティクス分野)を活用したプロジェクションマッピング(メディア情報)を制作しました。外濠公園2号地への設置に先立ち、金沢工業大学 扇が丘キャンパス1号館前で行った投影実験を通じて、映像コンテンツとの融合による意匠的な成果への期待につながりました。

(写真のクリックで再生されます:動画サイズ 223MByte)

連絡先

金沢工業大学 研究支援推進部 松井・梶川 (TEL 076-294-6740)