研究所特徴
セメント系3Dプリンティングに関する研究要素は、地域の官民のニーズ調査、文化等を反映した意匠、最適な材料の選定、ロボットの制御、トポロジー最適化設計※1を含めた構造解析、表面加工や切削・研磨処理、成果物の3Dスキャニングや利用者の視点での分析など、多岐にわたります。
土木・建築・機械・ロボット・電気・情報・化学・心理といった広い専門分野を融合できる金沢工業大学と、土木建設材料のカーボンニュートラル※2や、ロボットを活用した施工の自動化システムを有する鹿島建設株式会社(以下、鹿島建設といいます)は、両者の知見と技術を活かしてセメント系3Dプリンティングの設計・製造・施工技術を開発します。さらに、地元自治体等と連携し、社会実装に向けた研究を推進しています。
研究内容概要
セメント系3Dプリンティングを建設分野に普及展開するために、製作物を公共の場に設置し認知してもらう事も含め、地方自治体などと連携した産官学での研究開発も推進しています。
金沢工業大学は学科横断の研究体制をとり、また鹿島建設は社内横断の連携体制をとり、両者が組織対組織の連携体制を築いています。また学生達も、大学教員や鹿島建設の技術者の指導の元、主体的に社会実装研究へ参画する事によって、実践的な技術開発の経験を積み上げています。
3Dプリンティングによるセメント積層サンプル
※1 トポロジー最適化設計
設計したい空間に対して必要な制約条件を与えて、どのように材料を配置すれば最適な構造となるのかを計算し設計する手法です。
※2 カーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは、温室効果ガス排出量と温室効果ガス吸収量の総和をゼロにすることを言います。(それに対してカーボンネガティブとは、二酸化炭素(CO2)の吸収量が排出量よりも多い状態の事を言い、カーボンニュートラルに留まらず、さらに吸収量を上げ、全体の排出量をマイナスにしてしまう状態のことを指します。)
※3 CO2-SUICOM®
CO2-Storage and Utilization for Infrastructure by Concrete Materials
CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)は、 中国電力株式会社、鹿島建設株式会社、デンカ株式会社の登録商標です。
※4 i-Construction
測量から設計施工/維持管理までの建設プロセスにおいて一貫した3Dデータ を全面活用し、抜本的な生産性向上を目指す国土交通省が推進する取組みです。