加齢医工学先端技術研究所

Institute of Advanced Medical and Engineering Technology for Aging

所長挨拶

 金沢工業大学 加齢医工学先端技術研究所
 所長 山口 照英

 我が国は少子高齢化が進み、超高齢社会を迎える2050年には日本人の平均年齢は56.2歳に達すると推定されている。 このような高齢化といった社会的環境の変化に伴う医療ニーズの変化は、従来と大きく異なるものがある。 高齢化に伴いがんや循環器疾患などの3大死亡原因の急増もあり得る中、そのQOLを改善するような医療提供が医療費増大を防ぐ大きな柱になると予想されている。 特に脳梗塞や心筋梗塞、重症下肢動脈梗塞、糖尿病性網膜症などの循環器疾患は生命の危機を脱したとしても、その後のQOLを大きく損なうばかりか、その予後において介護など医療費の膨大な増加をもたらす。 このような循環器疾患に対する治療法として血管再生医療が注目されているが、薬事承認された製品は世界的にもない。 血管再生医療の確立は、高齢化に伴う様々な疾患の根治療法となる可能性を秘めている。
 一方で高齢化に伴う様々な疾病に対して再生医療を適用していくには、いくつかの課題が存在している。 その一つが生きた細胞を用いる再生医療に特有な観点として、細胞や製造に用いる原材料に由来するウイルス等の感染因子に対する安全性確保である。 また人工的な培養環境や細胞加工による細胞の遺伝子的安全性の評価も重要な課題である。
 ヒト細胞を有効成分とするための有効性評価における非臨床試験のデザイン、動物モデルの開発などが僅々の課題となっている。 そのために細胞加工技術の開発とその加工技術の有効性や安全性評価が必要とされている。
 以上のような時代の要請にこたえる医療技術の基盤開発を目的として、加齢医工学先端技術研究所を設立し、これまでの本学の医工学進展の流れを加速させることが日本の高齢化社会に対する大きな貢献となると考えられる。 本研究所は、この社会的要請に応えるべく、医学的・生物学的技術の発展とともに、医学的・生物学的技術の発展に不可欠である工学技術の開発、ならびに実用化のための検査技術の開発を目指している。


TOP>所長挨拶
このページのトップへ