Project5
人工知能・知識情報処理応用 研究成果
対称性にもとづく画像分析の研究、深層学習を応用したパターン認識の研究、強化学習を応用した最適化の研究(蜷川研)
平成26年度の研究成果
S. Ninagawa: Dynamics of universal computation and 1/f noise in elementary cellular automata, Chaos, Solitons & Fractals, Vol. 70, pp. 42 -48.
単純セルオートマトンルール110は周期的背景のためにパワースペクトルにおけるべき乗則が狭い周波数域に限定されている可能性がある.周期的背景はルール110における計算万能性に関して積極的な役割を果たしていないことから,時空間パターンから周期的背景を除去しても計算万能性の基本的な特徴は失われないことが期待される.そこで周期的背景を除去したパワースペクトルはより1/fゆらぎに近い振る舞いを示すことが明らかとなった.この結果は1/fゆらぎが計算万能性を生み出すダイナミクスの特徴であることを示唆している.
S. Ninagawa, A. Adamatzky, R. Alonso-Sanz: Phase Transition in Elementary Cellular Automata with Memory, International Journal of Bifurcation and Chaos, Vol. 24, No. 9, pp. 1450116-1 -1450116-15.
αメモリとよばれるメモリ付きの単純セルオートマトンの振る舞いをLempel-Ziv複雑量とスペクトル解析を用いて分類を行った.その結果,メモリが無い場合ではカオス的とされていたルール18,54,22といったルールにおいて記憶長を特徴づけるαを変化させたときに複雑な振る舞いへの相転移が見られることがわかった.この結果はカオス的な力学系に記憶機能を持たせることで計算機脳が実現できる可能性を示唆している.
S. Ninagawa, G. J. Martinez: Power Spectral Analysis of the Computation Process by Rule 110, 11th International Conference on Cellular Automata for Research and Industry, ACRI 2014, LNCS 8751, pp 45 - 54.
ルール110において計算万能システムであるサイクリックタグシステムを模倣した計算過程に対してスペクトル解析を行った.その結果,活発に計算が行われている領域ではパワースペクトルが1/fゆらぎとなり,不活発な領域ではローレンツ型となることがわかった.これらの結果から計算過程においてはその時定数が長くなることが予想される.
ルール110でサイクリックタグシステムを模倣している過程(一部).
S. Ninagawa, A. Adamatzky: Classifying Elementary Cellular Automata Using Compressibility, Diversity and Sensitivity Measures, International Journal of Modern Physics C, Vol. 25 、No. 3 、pp. 1350098-1 -1350098-12.
LZ複雑量,Derrida係数による初期依存性,形態多様度を用いて単純セルオートマトンの分類を試みた.その結果,LZ複雑量と形態多様度の間に強い相関が認められた.これらの諸量を用いることで,従来の分類手法では見られなかったルール空間の微細構造を見つけることができた.