船舶および海上ビークルの実海域走行性能解析

 海面上で、船舶および海上ビークルの実機または模型の走行試験を行う。海面上に設置した風力波浪計から風力と波浪情報を得るとともに、GPSを用いて位置情報を取得し、実海域における走行性能を明らかにする。また、本学内の小型舟艇や水上飛行機などのビークル系の研究を行っている研究室とタイアップして、これらの海上試験実施の支援を行う。

大型風力推進船やセーリングヨットの実海域帆走性能解析

 動力源の全てを石油に依存している海運業においてCO2排出総量の削減は現在最重要の課題であり、造船メーカーはあらゆる可能性を追求している。無論この中には風力利用も含まれているが、過去に「新愛徳丸」などで試された機主帆従型の域を出ないため、削減目標を達成する上でまだまだ不十分である。このような中にあって、東京大学ではカーボンファイバー製の伸縮式硬翼帆を用いて、主に風力によって航走する大型船舶の開発を行っている(ウインドチャレンジャー計画)。今後、このような風力推進を積極的に取り入れた船舶の開発はさらに活発化するものと考えられる。
 風力推進船の帆走性能試験は、まさに実海域でしかできないものであり、本研究所で海上試験実施の支援を行う。
 一方、純粋なセーリングヨットの帆走性能向上のための実験解析も、重要な研究テーマである。現在オリンピックのヨット競技に用いられている「国際470級」艇は、我が国にとって最も金メダルに近い種目と目されている。このため、日本セーリング連盟(JSAF)では熱心に強化プログラムを組み、海上実船計測などを行って競争力の向上に努めている。このような海上実験の支援を行う。

海上漂流物の実海域計測

流出油などの海上漂流物は、風と波浪ならびに潮流によって拡散していくが、これを自動的にしかも無動力で追跡して位置情報を通報するシステムの開発が急がれている。このような追跡ブイの開発を行っているが、一定の条件を満たした海上試験の実施にはかなりの困難を強いられている。本研究所では、このような実験の場を提供する。