ものづくり研究所

　取扱う材料は金属・鉄鋼材料，金属間化合物，セラミックス，形状記憶合金のバルク・薄膜，a-C:H膜及びスマートマテリアルなど．組織制御及び結晶構造制御方法としては各種加工・熱処理技術，イオン注入技術，プラズマ・スパッタ技術を応用している．構造材料ではTRIP（Transformed Induced Plasticity；変態誘起塑性）現象を応用した超強靭化材料開発を行っている．薄膜材料及びスマートマテリアルではナノスケールアクチュエータ用の次世代金属系新素子の開発を目指している．本研究は，“相変態を応用した材料の高機能化”の一環である．従来から推進してきたバルク材での各種機械的特性評価技術や透過電子顕微鏡及びＸ線回折装置などによる金属物理・結晶学的評価から得られた知見や経験を活かして新機能発現のメカニズムを解明することにより，プラズマ・スパッタ装置を駆使した表面改質やa-C:H膜及びスマートマテリアルの高機能化と応用及びその製造プロセス技術の確立を目指している．

• 研究分野

金属材料工学，金属物理学，材料強度学，材料科学，表面改質，マルチファンクショナル材料，スマートマテリアル．「相変態を応用した材料の高機能化」及び「材料の破壊発生のメカニズム解明による超強靭化材料の設計・開発」が主な研究分野

• 所属学会

日本金属学会，日本鋳造工学会，日本ダクタイル鋳鉄協会，日本鉄鋼協会，日本材料学会，日本材料強度学会，日本工学教育協会

• 現在の研究課題

・プラズマ・イオン注入を応用したマルチファンクショナル材料の創製 ・ 強磁性形状記憶合金のマルテンサイトのキャラクタリゼーション ・異方正エッチングしたSi基板へのa-C:H膜合成によるマイクロマシンの実現・結晶構造を制御することによる金属・鉄鋼及び金属系新素材の高機能化に関する研究

• 採択研究プロジェクト

・（独）日本学術振興会　科学研究費補助金　基盤研究（Ｃ），“マルチフェロイック効果を利用した多層構造型センサ／アクチュエータ素子の創製”，平成19〜21年度（分担）

・（独）日本学術振興会　科学研究費補助金　基盤研究（Ｃ），“イオン注入で格子欠陥を導入し，ねじれ動作を実現した形状記憶合金素子の開発”，平成18〜19年度（代表）

・（独）日本学術振興会　科学研究費補助金　基盤研究（Ｃ）（２），“Si基板上に形成したTi-Ni系形状記憶合金薄膜の界面特性評価に関する研究”，平成12〜14年度（代表）

・文部科学省，知的クラスター創成事業（第?期），ほくりく先導型研究開発の国際連携拠点形成，平成20〜24年度（分担）

• 主な研究業績

・Noriaki Ikenaga, Yoichi Kishi, Zenjiro Yajima and Noriyuki Sakudo, Influence of Substrate Temperature on Texture for Deposited TiNi Films, Advances in Science and Technology, vol. 59, pp. 30-34, 2008

・Z. Yajima, Y. Kishi, K. Shimizu, H. Mochizuki and T. Yoshida, Crack Nucleation Mechanism of Austempered Ductile Iron during Tensile Deformation, Materials Transactions, JIM, vol. 47, pp. 82-89, 2006

・矢島善次郎，岸陽一，清水謙一，望月栄治，吉田敏樹，オーステンパ球状黒鉛鋳鉄の引張変形に伴う亀裂発生機構，鋳造工学，vol. 77，pp. 445-452，2005