コラム KAZU'S VIEW

2009年12月

雪の晦日に思うこと -イマジンのメッセージの受け止め方-

丑(ウシ)年も残り少なくなった晦日近くに金沢では雪が降った。新型インフルエンザや政権交代など牛の歩みとは異なり、様々な変化が見えてきた年であった。年末に雪かきで体を動かし、汗をかき、早めの風呂を楽しんだ。自分の年末風景としては珍しいものであった。こたつに入り、夜のテレビ番組を見ていると小野洋子(Yoko Ono Lennon)さんがジョンレノンとの思い出を語っていた。小野さんは1953年、20歳のとき、学習院大学からアメリカ合衆国のサラ・ローレンス大学で音楽と詩を学び。1959年からニューヨークを拠点に、前衛芸術家として活動し。1966年には活動の拠点をイギリス、ロンドンに移した。同年11月に個展を開催、その会場でジョン・レノンと出会い、1969年に結婚した。同年ふたりはふたりの音楽ユニットであるプラスティック・オノ・バンド(Plastic Ono Band)を結成している。60年代後半から70年代にかけてレノンとともに数々の創作活動や平和運動を行い、レノンが亡くなった後も世界各地で個展や音楽活動を通じて「愛と平和」のメッセージを発信し続けている。世界で最も有名な日本人女性として知られる。1970年にビートルズは解散するが、その際、「ビートルズを解散させた女」と呼ばれた。2009年9月よりYOKO ONO PLASTIC ONO BANDとして、息子のショーン・レノンやコーネリアスの小山田圭吾らと共に音楽活動を再開している。
小野洋子さんの話の中で印象に残ったのは、1971年にロンドンからニューヨークに移り住み。発表したアルバムのひとつであるアルバム『イマジン("Imagine")』のことだった。
この詩はImagine there's no Heaven. It's easy if you try.・・で始まる。その歌詞を私なり訳すと、「想像してみてごらん天国は無いって、・・・想像してみてごらん今日を生きるって、想像してごらん国は無いって、・・想像してごらん、みんなが平和に生きるって、想像して見てごらん財産なんて無いって、・・想像してごらん世界がみんなのものだって・・、僕を夢見人と人は言うかも知れないが、夢見人は僕一人ではないよ、きっといつかはみんなが同じ一つの夢、「争いのない世界」になることを願うこと。」
この曲の詞は小野さんの書いたものが基になっているということだった。第二次世界大戦中の日本で、アメリカ軍の空襲を受けてご家族と防空壕にいた時のエピソードを語っていた。妹さんが防空壕の中で空腹を訴えていた時に、小野は妹さんに「あの空を見て、雲がご馳走だと思ってごらん。そう思うとお腹が膨れるよ。・・・」という、姉妹の会話が基になっているとうことだった。戦時体験を引きずっている人生であると、ご本人は語っていたが、彼女の「愛と平和」のメッセージの発信活動は、既成の人間が作り出した秩序である、天国、国家、財産そして争いを否定し、生きる、平和、平等、争いの無い1つの世界を夢として描くことに基づいているのではないか。
天照大神は日本の母になるのか、世界平和を芸術という手段によって動かす人物が、世界で最も有名な日本人女性であることに日本の男はどう対処するか。そのような問いかけが心に深く残り、除夜の鐘と共鳴していた。

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