コラム KAZU'S VIEW
2009年01月
今年の干支は陰陽どちらの色が出る牛年か?
12年サイクル(干支12支)の2番目の年、丑(ウシ)年が始まった。昨年の子(ネズミ)年は様々な変化のきっかけがあった。アメリカ史上初の黒人大統領の誕生、アメリカ発の金融危機に端を発した百年に一度の経済変化等々。
日本では牛という動物は歩みが遅く、食事も一度食べたものを口に戻し、かみ直して食べるという反芻(ハンスウ)をする。日本人の感覚からすると行儀が悪いとなる。従って牛は目立たず、地道に、一面暗いイメージが強い。一方、スペインの牛は闘牛に象徴されるごとく、派手で情熱的で一瞬に命を賭ける、ギャンブラー的イメージが強い。牛が赤い色で興奮するのを利用して闘牛士と牛の戦いが演じられる。また、スペインはカルメンに象徴される女性の情熱性もある。一度行ってみたい国ではあるが、なかなか実現できない私の課題の1つである。ところで、平安時代末期の日本に木曾義仲という源氏武士の統領が平家との戦いに牛を使って勝利したという、倶利伽羅峠(カラクリトウゲ)の戦いの話は有名である。その牛の角にはたいまつを付け、暗闇の中で大きな火の固まりとして平家の兵士には写り、恐怖心をあおったことによる戦果であったといわれる。この時の牛のイメージは闘牛のイメージである。その意味で日本では牛は陰陽両面を持つ存在であろう。見た目はあくまでも牛であり変わりが無いのに、これだけ違うイメージを抱かせる理由(ワケ)は何なのか。ここに、今年の干支の面白みがあるような気がする。この木曾義仲は結局、同族の源義経に敗れる事になるが、その勝者である義経も兄、頼朝に滅ぼされる。しかし、木曾義仲は義経以上の軍略家ともいわれる。頼朝より先に征夷大将軍になっており、彼につきそう女性武士の巴御前(トモエゴゼン)は魅力的な存在でもある。カルメンとドン・ホセの組み合わせと重なり、ある意味、男のロマンを感じる。
昨年暮れから失業問題などなど、暗い話題の多い年の暮れと年明けであった。しかし、職が無くても、ホームレスでも餓死する日本人はほとんどいない。世界的に見れば大変恵まれた、裕福な存在であることは間違いない。それは物(モノ)価値、経済価値の豊かさであり、心(ココロ)価値の豊かさではない。明治以降ここ百年余り、日本人は心の価値を減少させる行動を取って来たのでは無いか。5S(ゴエス:整理、整頓、清掃、清潔、躾のローマ字表記の5つの頭文字を取った言葉)、もったいない(Mottainai)、改善(Kaizen)などの日本語が国際語化しており、その背景には世界が日本人の心の価値に魅力を感じ、あこがれさえ抱いている事に日本人の多くが気づいていない事に「もったいない」感を覚えざるを得ない。日本人の価値づくりに自信を持ち、気負うことなく世界へ発信することでグローバルな閉塞感から抜け出すリーダーシップを日本が取る好機の年にしてはどうか。