コラム KAZU'S VIEW

2006年03月

トリノオリンピックの感動

荒川静香さんのイナバウアーの感動が世界を駆けめぐったトリノオリンピックでは女性選手の活躍が色濃く印象に残っている。昨年7月28日〜30日にイタリアのミラノを訪れた時、トリノでのオリンピック建設工事の様子を聞き、トリノオリンピックグッズをお土産に買ってきたので少々思い入れが強かった。当初、日本の金メダル獲得数はかなり多く期待されていたが、結果的に荒川さんだけに終わった。しかし、メダルにはならなかったものの、カーリングの女性チームは大いにその種目を日本人にアピールしたし、そのゲームの様子は多くの日本人にエキサイテイングな感動を与えたのは確かだ。イナバウアーという技はドイツ人の女性が開発した技らしいが、フィギアスケートの競技採点ではカウントされない技だと聞いた。カウントされない技を何故オリンピックの晴れ舞台であえて行なったのか?とても興味を感じた。勝手な解釈であるが、この競技はスポーツではあるが、芸術的な要素もある。芸術は個性であり、現状打破の価値が高い。それは創造される価値の新規性が重要視される場であるからであろう。常に常識に対する変革の力が芸術力ではないか。既存の価値に対して異なる自分の信じる真、善、美を精一杯他者に投げかけたとき、その投げかけが多くの人の共感を得ることができれば、新しい価値創造がなされたことになろう。ヨーロッパの技をフィギアスケートの世界で新しい価値として東洋人が作り上げたことに世界が感動したことが荒川ブランドとなったのであう。日本の男性はこの世界的価値創りの事例が日本人女性の手で成し遂げられたことに改めて学ぶべきではないか。女性の力強さは「カカ楽」、「カカア殿下」、「おばあちゃんの知恵」など色々あるが、やはり子供を生み出せるという力がその源であろう。ある女性の方が「女性の強さに」ついて話されていた時に、とても興味深いことを言われた。それはイスラムのハーレムの世界での女性の強さの話だった。スルタンを唯一の男性とする女性の世界で女性間の争いが生じる。子孫を残すことの戦いの中で、女性は深く追い込まれると一種の開き直りから、非常に強くなるというものであった。超高齢社会の日本にあって、女性の寿命が男性より長いという客観的事実を見るときに、納得する指摘である。また、日本には歴代、天照大神(あまてらす・おおみかみ)、推古天皇、北条政子、和宮など日本の大変革に関わる女性は多い。日本的価値の世界化を女性が行なった今回のトリノオリンピックは今後の日本にどのような影響を与えるのか、楽しみである。

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