コラム KAZU'S VIEW

2006年02月

金沢の今年の雪は20年ぶりの大雪

石川の鰤興し(ブリオコシ)は11月から始まるが、年を越える前に雪が降るのは珍しい。去年から雪が多いが、戌年が始まってからも随分沢山の雪が降った。20年ぶりらしい。文科省(文部省)唱歌の「雪」の2番、「雪やこんこ霰(アラレ)やこんこ。降っても降ってもまだ降りやまぬ。犬は喜び庭駈(カ)けまわり、猫は火燵(コタツ)で丸くなる。」ではないが、犬(戌)年に雪が降るのは喜ばしく、当たり年なのか。20年前の雪は何となく雪国に来た実感が持て、多少嬉しさもあったが、この20年ぶりの雪は少々うんざりだ。石川県人になったのだろうか。嬉しいような、寂しいような複雑な気持ちだ。北陸の気候にはいくつも驚きの体験をしてきたが、その感激もだんだん麻痺して来たのだろうか。肉体の衰えが心の衰えとともに加齢によるものか。しかし、加齢による進化も期待できないのだろうか。肉体と心の新たな価値空間での人生の歩みに期待を繋ぎたい。

今年はどんな年になるだろうか。昨年、桃太郎を話題にしたとき桃→金→西→酉の関係があることを陰陽五行説から知った。そこから、干支の関係で申→酉→戌の順序があることも知った。西の力が北に変わる最後の年が戌年と考えられる。そういえば、かつて日本が世界をリードしていた80年代に時代の西周(ニシマワリ)説?という話を聞いて興味をひかれた。その内容は、人類の文明の歴史の歩みで、世界最先端はまず、黄河流域に発し、その後インド、中東を経て、ヨーロッパに移り、やがて大西洋を渡って第二次世界大戦を挟み、アメリカに移り、太平洋を渡って日本に来た、という仮説で去った。確かに80年当時は説得性があったと思う。しかし、10年もしないうちに、失われた10年の90年代に入る。黄河文明まで一回りする直前に、日本海前に立ち止まった感がある。数千年かけて地球を一周した後に新たな段階、すなわち、一段階違ったサイクルの始まりであり、現状打破のための産みの苦しみなのであろうか。世界経済で中国が話題にのぼることが多くなった。20世紀から21世紀にかけて経済成長を二桁続けて来ている国は珍しいが、その代表が中国であろう。確かに80年代に文明の先端は東アジアに戻ってきた感は多くの人が持つ感慨であろう。アジア、ヨーロッパ、アメリカの3つのブロックで見ればブロックのまとまりとしてはヨーロッパがもっとも内部の絆が強いであろう。その成果はユーロ高に着実に現れている。

陰陽五行説の五行相生とは5つの元気の生成順序を規定したもので、木→火→土→金→水:→木のサイクルが前提となっている。干支の「酉」は「金」、「戌」は「水」に対応する。従って、五行の最後が「水」であり、来年は新しいサイクルとして「木」が始まる。ところで、「水」は北・冬・黒・粟・豆に符合する。その中の栗に着目する。粟飯は未だに好きにはなれないが粟稗(アワヒエ)は粗食の極み。今の日本は飽食に明け暮れ粗食を忘れ、飽食の下にエステ三昧。日本海を挟んで文明が西進し、中国へ注目が集まるが、今年は日本海を挟んで北の方向に注目すべきではないか。飽食とは別世界が海を挟んだ隣に存在することを認識させられる年になるのではないか。

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