コラム KAZU'S VIEW

2018年03月

今年の櫻の見始めは韓国のソウルだった

3月30日から31日の2日間,初めて韓国のソウルを訪れた.目的は韓国IE学会と私が会長を務める学会が連携事業を進めるための覚書調印式の出席するためであった.金浦空港に30日の午前11時に着き,31日の午後1時に同空港を発って帰国したので,正味1日のみの滞在だった.金浦空港からホテルに向かうタクシーの車窓からまず目に入ってきたのは満開の櫻であった.路側の櫻の木はわずかであったが,満開の櫻の木を見たのは今年初めてだった.3月の上旬に東京に出かけた時,皇居周辺を櫻見物がてら歩き回ったが,三分咲き程度の木が数本あっただけであった.金沢を発った日に,金沢で櫻の開花宣言が出た程度だったので,まばらな咲き方のイメージしかなかった.このことが,初めてのソウルで見た満開の櫻の印象をこの上なく高めたのであろう.金沢より北にあるソウルでこのような機会に出会うとは,不思議な感じであった.その次に目に入ってきたのは,大きな川であった.川岸にある看板を見ていたら,その川の名前が漢江であることが分かった.この川には沢山の橋が架かっていたが,コンクリート橋,鉄橋,吊り橋,工事中の橋などとても変化に富んだ,個性のある橋達であった.また,鉄橋もその色が黄色やオレンジなど色とりどりであった.漢江と言うと,2013年02月のコラム「韓国で最初の女性大統領の誕生で思うこと」で韓国初の女性大統領,朴槿恵(パク クネ)誕生を取上げた時,彼女の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の「漢江(ハンガン)の奇跡」と言う言葉を思い出した.しかし,車窓からみる景色には工場らしい物影は見いだせなかった.その後,ホテルにチェックインしたら,私が予約したホテルとは違うということだった.よく聞いてみると同じホテル名で何カ所かにホテルがあるとうことで,到着早々,ハプニングに出会った.やっとのことで予約していたホテルにチェックインしたのは午後2時近かった.
韓国IE学会との約束は午後3時半だったが,初めての地であり,土地勘がないため早めにホテルを出て会場に向かった.調印式は先方の都合で,新事務所の開所式に合わせて行われた.開所式典後,調印式を行い.私が30分ほど記念講演を行った.講演の内容はこの調印式に至る私の学会の事情と経緯についてであった.韓国IE学会と本学会の付き合いは20年以上に渡るが,これまでは個人的関係性で成り立って来たが,今後は学会間として組織的な関係を結ぶことが狙いであった.式典後,懇親会に付き合った.懇親会会場は海鮮料理屋のようだったが,料理は蛸料理であった.ちょうど,蛸の季節で韓国の西側ではこの時期の蛸は生きが良く,精力剤的な料理らしい.鍋料理だったが,生きた蛸をそのまま沸騰した鍋に突っ込むという荒っぽい料理であった.パフォーマンスとして店員が生きた蛸を持ってきて鍋に入れる時,蛸が吸盤で必死に店員の手にしがみつく様子が何やら哀れを誘った.話題は,韓流ドラマから始まり,私が歴史ものを好きだと言ったことから李朝朝鮮の話になり,なぜ,八百年も続く王朝ができたのか,韓国人が酒を飲むとき,相手の顔を見ない理由,現代劇のドラマでよくお酒を飲むシーンに出てくる緑色の瓶に入ったお酒の話,ピョンチャン(平昌)オリンピックの話など盛り上がりを見せた.
年度末の慌ただしい時期に,1夜ではあったがソウルで韓国IE学会の友人達と楽しい時間を持てたことによって,満開の櫻を見た時と同じくらい心が軽やかになった.帰国して,小松空港に降り立った時,その風の冷たさに,ふと我に返ったような気がした.明日は入学式である.
以上
平成30年3月

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