コラム KAZU'S VIEW

2018年02月

如月/衣更着(キサラギ)の大雪は平昌(ピョンチャン)の熱気で溶かせ

今年は2月に入っても雪かきエクササイズが結構続いた。2月の日本暦は如月または衣更着(キサラギ)と呼ばれる。この由来には、諸説がある[1].寒さから更に着物を重ねるから衣更着、如月(ニョゲツ)は中国での2月の異名で、日本では雪消月(ユキキエツキ/ユキゲシヅキ)と呼ぶこともあるという。金沢での豪雪の歴史を見ると,昭和38年(1963年)1月11日〜1月27日に降雪の合計が389センチ、最深積雪181センチ(1月27日)と言われる38(サンパチ)豪雪、昭和56年(1981年)前年12月末〜1月23日に最深積雪125センチ(1月13日)の56(ゴウロク)豪雪がある。今回は、2月8日の87センチという最深積雪であった[2].昨年12月からの大雪は残雪期間が短かったので残雪はほとんどなかったが,2月のこの雪はなかなか雪解けが進まず、1週間は雪掻きエクササイズを毎日行った。多い日で1日3回行なった。また、福井県と石川県境付近の国道で1500台を超える車が立ち往生するという全国ニュースが3日間ほどTVを賑わせた。
ちょうど、この大雪の雪解けを待ち焦がれていた頃、第23回オリンピック冬季競技大会が2月9日から2月25日までの17日間、大韓民国江原道平昌郡を中心とする地域を会場として開催された.大会テーマはPassion. Connected(ひとつになった情熱)[3]であった.冬季オリンピック史上最多の92の国・地域から,2925選手が15の競技の102種目にエントリーした.この内,スノーボードのビッグエア,カーリングの混合ダブルス,スピードスケートのマススタート,アルペンスキーの混合団体が今大会の新種目として採用された.連日の中継や選手達の大会に向けてのエピソード紹介などが感動場面をもり立てていた.日本人選手のメダル獲得結果は、金メダル4個、銀メダル5個、銅メダル4個の計13個とこれまでの冬季大会史上最多となった.特に、複数メダル獲得者が全て女性選手(高木菜那選手金メダル2個、高木美帆選手金1,銀1、銅1、小平奈緒選手金1、銀1)であったこと、複数の日本人選手が同一の種目で表彰台に立ったこと(男子フィギアスケート金、銀メダル、女子1000mスピードスケート銀・銅メダル)が結果として特筆できる.高木姉妹は合わせて5個のメダルを獲得している事に驚かされた.一方,日本カーリング競技史上初のメダル獲得となったロコ・ソラーレ(Loco Solare/LS北見)の大和撫子5人組は多くの話題を提供してくれた.競技期間が長いこと,試合時間が2時間を超すこと,メンバー間の会話がマイクを通じてリアルタイムに聞けること,休憩時間の様子もデイスプレイされること,体力・知力・チーム力およびスートーンの個体差や氷の時間的、環境的変化などの要因分析力などが競技の勝敗を左右する等が興味をひいた.
この大会では前回のソチ大会と同様の政治的な動きも見られたが(2014年02月コラム「ソチ冬季オリンピックの感動劇場」参照),日本選手の活躍,特に,大和撫子の活躍と笑顔はこの暗い大会イメージを日本人に対しては払拭してくれた.選手達の笑顔は,試合の重圧や苦しい練習を乗り越え、自らを超える挑戦に全力を持って取り組み、その成果は自らの努力に対して真摯に評価することで生まれてくるものでないかと思う.多くの選手のインタビューで返って来る言葉の中に,美空ひばりの「今日の我に,明日は勝つ.」の情(ココロ)を感じた.66年ぶりに男子フィギアスケートでオリンピック2連覇を達成した羽生結弦選手は.金銀銅3つのメダルを取った高木美帆選手と同じ1994年生まれの24才だという.今シーズンからアメリカMリーグで始動する大谷翔平選手も同年代だと聞く.若い力の躍動は見ていてすがすがしく,美しい.この若い力の躍動に触発されて,老体にむち打ちながら雪解けを待ち望み、雪掻きに励むのも一興である.春の足音が聞こえて来るようである.

[1] 語源由来辞典, http://gogen-allguide.com/ki/kisaragi.html,2018.2.27
[2]  金沢地方気象台ホームページhttp://www.jma-net.go.jp/kanazawa/, 2018.2.20
[3] https://www.pyeongchang2018.com/jp/about-the-games, 2018.2.02
以上
平成30年2月

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