コラム KAZU'S VIEW

2005年01月

ロードオブザリングに見るカカ楽

酉年が始まった。正月三賀日はテレビで映画を見ることが度々あった。その中で「ロードオブザリング(指輪物語)」という映画が気になった。この映画はシリーズ3部作で、「ロードオブザリング」、「ロードオブザリング・2つの塔」、「ロードオブザリング/王の帰還」の順で公開された。見たのは最終作の王の帰還であった。この映画は第76回アカデミー賞で作品賞以下、監督賞、脚色賞、作曲賞、主題歌賞、編集賞、美術賞、衣裳賞、音響賞、視覚効果賞、メイクアップ賞の合計11部門を受賞した。
ストーリーの詳細は省略するが、多分テーマは人間の2面性であり、その象徴として「白の勢力」と「闇の勢力」の戦いを背景においている。また、タイトルにある指輪は権力の象徴であり、この指輪を持った者は永遠の生命を与えられるが、この力を得るために争いが起こると考えたことから、フロドとサムがこの指輪をその創造主であるサウロンと共に滅ぼす旅に出る。この旅には多くの困難が待ち構えているが、その困難はいずれも人間の心の2面性を表している。また、白と闇(黒)の戦いはヨーロッパとアジアの戦いを連想させる。それは12〜13世紀のテムジンをリーダーとするモンゴリアンがヨーロッパに攻め入った時、ヨーロッパの人々は攻め入った東からの民族をバーバリアン(barbarian)野蛮人と呼称した。それが闇の軍隊のイメージに重なる。
話を本題に戻そう。白と闇の軍隊の最後の戦いがその印象的場面である。白の軍隊のリーダーセオデン王の姪に当たりローハンのプリンス、エオウィンは男には絶対倒せないと言われた冥王サウロンの僕であるナズグルを倒す。そのきっかけはセオデン王がナグルスに倒され絶命寸前にナグルスの前に立ちはだかり、戦いを挑む。ナグルスはその外見が男のように鎧をまとったエオウィンを男と侮り、倒される。このナグルスが載る乗り物が東洋では神聖でエネルギーのシンボルである竜なのである。これは空を飛ぶ乗り物の役割であるが白の軍隊側は竜に対し鷲である。鷲(双頭)はドイツ第三帝国ナチのシンボルでもあったような気がする。このエオウィンはやがて王になるアラゴルンを秘かに慕うがアラゴルンには人間とは別種族のエルフの女性アルウェンと恋愛関係にあるところが何とも歯痒い。この映画の最後は「滅びの山」への弥次喜多道中を共に過ごしたフロドとサムのフロドが指輪物語の著者として最後の文章を書き収め、故郷のホビットの国(小さいが勇気のる人々の国)を1人旅立つ。
新年早々、見た映画は指輪という永遠の愛の象徴でもある物が滅びの力を持つというストーリーの中で洋の東と西、白と闇(黒)、女性と男性の対比を人間の2面性に重ね合わせ、西を中心とした男性の力による戦い(闇)の世界の行き詰まりの打開は女性の手にゆだねられるべきというメッセージを伝えようとしているのではないか。改めて女性の力の今の競争優位性を認識させられた。時代は男から女にその振り子の向きを変え始めて来ているのではないか。カカ楽のお手並みを拝見する時期ではないか。

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