コラム KAZU'S VIEW

2016年12月

今年の申は雄か雌だったのか?

2016年が過ぎようとしている。今年は丙申(ヒノエサル)の年だった。1月のコラムで「あさが来た」を取り上げた。
それから1年が過ぎようとしている。長くも有り、短くもあったこの1年を振りかえると、女性の活躍の機会にまつわる話題が世界中でわき起こった印象が強い。まず、アメリカ合衆国史上初の女性大統領誕生の機会を提供した第45代アメリカ大統領選挙の候補者、ヒラリーローダムクリントン(Hillary Rodham Clinton)女史である。日本では、初の東京都女性知事となった小池百合子(コイケ ユリコ)女史であろう。また、お隣の韓国では初の女性大統領となった朴槿恵(パク クネ)女史のスキャンダルによる任期前の辞職がある。彼女については、2013年2月コラム「韓国で最初の女性大統領の誕生で思うこと」で大いに期待を持った経緯がある。8月のリオで開催された第31回オリンピック競技大会では日本史上最多の41個のメダル獲得(金12個、銀8個、銅21個)において女性アスリートは18個を獲得した。特に、金メダル12個の内、女子が7個と過半数を占めている。その中でも圧巻はレスリングの4個であろう。今年の4月コラムで、「これまでのコラムで取り上げた女性に関するテーマついて」を書いたが、これも今年を象徴するテーマであったと思う。
身近な話題では、今年2歳になる初孫娘に弟ができた。彼女が弟誕生をどう受け止め、行動として表すかを観察する機会を得たが、大きな変化、成長を見ることができた。この大きな社会的変化をどう認識し、理解し、対応するのかは人間の学習プロセスにおいて非常に大きな環境変化に対する学習能力向上を要求される場、すなわちイノベーションであろう。しかし、彼女は何の教育も受けず、自ら学習し、対応している。この事実は、人間の学ぶ力の奥深さを私に教えてくれた。この10年来、人財育成をテーマにした、研究と実践を進めてきている。大学に奉職してから30年以上の歳月が経過するが、元々、大学に残った最大の理由は好きな研究を続けたいという願望であった。しかし、研究面での創造性に限界を感じてくる自分がいつの間にか、次代にその可能性を伝えたいと思うような心理的変化に戸惑いながら、認めている自身を懐疑的に眺めている。そんなこの10年間でやってきている研究は、「どう教えるか」から「どう学ぶ環境を提供、支援するか」に変わりつつある。この変化を強く後押ししてくれているのは、2人の孫であることに感謝すると共に、彼らを相手にする時間の期待と快い疲労感を楽しむ自分に気づいている今日、この頃である。
昨年の8月と11月の2回、自宅の庭に野生の猿が現れた。これを、丙申(ヒノエサル)年の前兆と解釈した(2015年12月コラム)。これは、吉か凶だったか?12月7日から4日間、台北で国際会議があり出席したが、出発前日に家内が追突事故に遭い、入院する羽目に逢った。幸い、大事には至らなかった。これは、吉兆半々と解釈すべきであろうか。  
何らや雌ざるの年が静寂の中で過ぎ去りつつ、けたたましい酉の鳴き声が聞こえてくるような夢を見ている。世界が平和で、男女仲良く、健康に過ごせるように心から願う。
多幸な丁酉(ヒノトトリ)の年となることを心から願う。
以上
平成28年12月

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