コラム KAZU'S VIEW

2004年12月

申から酉へ、成熟の年となるか?

申年も終わりを告げ、酉年を迎えようとしている。酉とは酒坪、鶏、西、午後6時、みのる、成熟するなどの意味がある。

申年の締めくくり、師走は初めてのオーストラリアを訪問し、ゴールドコーストの砂浜の夕日を眺めて、石川県の千里浜との共通点である日本人が作った人工の砂浜の美しさに感動した。この砂浜の近くには多くのホテルやマンションが建ち並び、それらの建設には日本企業が多く関わったと言う話を聞いた。今回のオーストラリア訪問はAsia Pacific Industrial Engineering and Management System Society(APIEMS)の第5回会議と第7回International Foundation for Production Research-Asia Pacific Regional Meeting(IFPR-APR)がANA Hotel, Gold Coastで12月12日〜15日の間、開催され、これに出席することが目的であった。会議は600名近い参加者があり盛大な大会となった。 組織委員長のQueensland University of Technology のDr. Kozan教授とは2002年に台湾で開催された第4回APIEMSで初めて会い、それ以来の知己である。彼はトルコ出身で20年程前にオーストラリアに移って来たということであった。台湾での話で、日本語の「ぼける」とい言葉はトルコ語にも同じ発音で意味の単語があることを教えてもらった。 オーストラリアでは多くのアジア人が活躍をしていること、日本人も多く生活をしていることを実感として感じた。日本と季節が反対で、丁度初夏に当たる気候の中でクリスマスやサンタクロースに出会う体験には戸惑いを感じたが、ホテルから歩いて5分程度の砂浜はその違和感を打ち消すものであった。昼飯を食べた帰りに海岸を歩きながら繰り返す波の動きを時間を贅沢に使って眺めていると、夕日の沈むシーンが目に入ってきた。2000年の正月にタイのプーケットで見た夕日、2001年の6月の夏至祭にラッペンランタ工科大学のファカルテイメンバー用サウナで真夜中の日没で出会った夕日(?)を思い出し、懐かしさを感じた。もの悲しさと安堵を意味するのだろうか。

帰国後間もなくのスマトラ沖地震のニュースを見聞きした。災難を逃れることのできた感慨と犠牲者の多さを重ねて、複雑な気持ちであった。

申の意味には伸びる、述べる、申す、いたす(送り届ける)、重ねる、くつろぐ等の意味がある。重なると言えば今年は台風、地震、大雨など天災が何回も日本を見舞った。その意味で日本をはじめ世界が自然の脅威に縮こまった年だったのかも知れない。しかし、一方でこの脅威に立ち向かう心の反動が縮こまった心を引き伸ばすきっかけとなる年でもあったように思う。来る年が、みのりある、成熟する年としての「酉」年となるように、心から祈りたい。

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