コラム KAZU'S VIEW

2015年12月

乙未(キノトヒツジ)年を振り返り丙申(ヒノエサル)年に思うこと

十二支(ジュウニシ)と十干(ジッカン)の組み合わせによる干支(エト)全60組の中で32番目である乙未、これに続き33番目の丙申がやがて訪れる。十干(ジッカン)の2番目の乙(キノト)は、「種から出た芽が地上に出ようとして曲がりくねった状態」、3番目の丙(ヒノエ)「かまどの火のもえるさま」を意味するという。十二支の8番目が未で9番目が申になる。
今年は、海外に出たのは7,8月のフィリピン、マニラと12月のベトナム、ホーチミン市であった。ベトナムは初めてであった。12月9日から始まるAPIEMSの学会に先駆け、7日からホーチミンに入った。5年ほど前に、人材育成に関して国際誌に掲載された私の論文を見て、研究室に来たいという同市内にある経済大学の女性教員からの問合せがあり、訪日費用を日本学術振興会の補助金を宛にして申請したが、成就しなかったことが心残りであったことから、彼女に会うことを思い立ち、今回のベトナム行を決めた。彼女は学位をスウェーデンに留学して取得しており、その時の指導教授が私の古い友人であったことも何かの縁であると思っていた。彼女と昼食をしながら2時間ほど話した。彼女が地元中小企業を対象として進めている人材育成プログラムの状況、ベトナム経済・社会の状況、家族の近況などなど。食事する場所は彼女に紹介してもらい、べトナム料理の店をリクエストした。ホテルの近くで、歴史のあるベトナム料理店に案内してくれた。その店の壁にはセピア色の写真が多数かけてあった。彼女の説明によると、この店は、ホーチミン市がかつてサイゴンと呼ばれた時代からある古い店であるとのことだった。料理のオーダーは彼女に頼み、条件としては生春巻きをリクエストした。いわゆる、ランチ定食のようなもので、セットメニューであった。春巻きにつけるソースが何種類かあった点が新鮮であった。また、デザートに餅が粥にトウモロコシを和えた甘い味付けの料理が出てきたが、これが自分には結構いけた。ベトナムでは経済発展により高学歴化が進み、子育てコストが上昇したため、次第に少子化傾向になりつつあるとのことであった。しかし、午前6時30分頃から市内はラッシュアワーとなり、交通渋滞が至る所に発生している様子は、その活力とともに5か月前に訪れたマニラの交通事情の解決方向性とは異なるものを感じた。マニラでは高速道路が解消手段であるのに対し、ホーチミンでは地下鉄によるものであった。これは、市内観光のガイドが言っていた、ベトナムでは自動車は高価な物品であり、カムリクラスが700万円以上する状況からすると、納得できるものであった。その代り、バイクの数がすさまじいものであった。ベトナムではバイクイ=ホンダだという。時々、中国のニュースで出てくる、バイクの後ろに巨大な荷物を括り付けたシーン(これはホンダの過剰品質?を象徴するシーン)を多数目にしたが、ここが大陸と島国の違いなのかとも思った。ベトナムは越南とも言われる。歴史的にみると大越という呼称もあったようだ。市内観光の折、歴史博物館に案内されたが、その歴史は戦いの歴史であったことを案内人が力説していた。元時代に戦勝して以来、負け知らずの国。アメリカを破った世界唯一の国。日本も第二次大戦中、ベトナムに進駐したいたがその状況の出展物は見当たらなかった。多分、大戦後の対仏独立戦争(第1次インドシナ戦争)時に現地に残った日本兵が様々な支援活動をしたことの功績や最近の日本からの様々な支援(2013年度の日本のベトナムへのODA総額は1300百万ドル以上でミヤンマーに次いで第2位)などがあるではないか。しかし、歴史を遡ると、漢の時代には敗れた経験もあるようだ。
今年は、8月と11月の2回、自宅の庭に野生の猿が現れた。野生の猿にこれほど間近で遭遇した経験は初めてだった。多分、2回とも同じ猿ではないかと思われる。8月に現れた際はまだ子ザルの様相であったが、11月に現れた時は、精悍な大人の顔立ちで、人間を見下すような顔つきであった。11月は連日現れたたが、こちらも準備して、2回目は戦闘状態となった。その後、現れなくなったが、12月に入り、駆除されたという話を耳にした。人間社会に長くいると野生に戻すのが難しいということであった。ふと、思うと、来年は申年であり、先駆けの意味を持って現れたのではないかと、少々、気の毒な気もした。
猿は木登り上手の象徴である。丙は、かまどの火のもえる様である。また、申は果実が成熟して行って、固まって行く状態を意味するという。乙未年が模索・試行錯誤であると、これに一定の方向性を与える年が丙申年になるのではないか。年末に来て、韓国史上はじめての女性大統領と日本の間に新たな動きが見られた。自らの第2の人生の方向性も固める年として新たな年を迎えたい。
以上
平成27年12月

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