コラム KAZU'S VIEW
2015年04月
韓流ドラマ、奇皇后に見る女性の怖さから男は何を学びたい
MBCのテレビドラマの「奇皇后:ふたつの愛、涙の誓い」という番組を見て感動を覚える自分の心の分析をしてみる。主演は、ハ・ジウオン、脚本はチャン・ヨンチョルとチョン・ギョンスンだという。かなり史実とは異なるらしいが、正にドラマである。時代背景は中国が元の時代、高麗は元の属国であったが、高麗出身女性のスンニャンが、やがて元の皇后になるまでのサクセス・ストーリーである。元というと、日本人の多くは、元寇(ゲンコウ)をイメージする。世界帝国を築いた元が、極東の島国の日本に攻めかかるも、2度とも失敗する。圧倒的軍事技術の劣勢を神風によって救われたという話を伝え聞く。その当時の日本は鎌倉時代で、武士が政権を握っていた。源頼朝(ミナモト ノ ヨリトモ)が作った政権はやがて、その妻の北条政子の家系による長期政権となる時代で、日蓮や親鸞など宗教的な変革期で精神的リーダーも多く活躍した時期(トキ)である。その揺り戻しとして、1333年に後醍醐天皇が建武の新政(中興)と呼ばれる政変を起こすも、1336年(1338年という説もある)に室町幕府が出来、その後、1336〜1392年にかけ南北朝という混乱期を経ていた頃である。世界史視点で見れば、元の世界帝国が崩壊し、ヨーロッパでは英仏百年戦争(1337〜1453年)、イタリアルネッサンスやペストの流行、中近東では1370年頃にチムール帝国がイスラム国家を建設し、東アジアでは明が台頭し、1368年に元を北に追いやる勢いを持ち出していた。正に、激動の時代であった。今の世界情勢とダブル面が見える。
男性俳優陣は、かなりのイケメン揃いで、NHK大河ドラマの「花燃ゆ」の配役と似ている。しかし、ヒロインのハ・ジウオンの演技力は圧巻である。ストーリー上は、両親を目の前で殺された娘が、生き延びるために男を装い、盗賊の頭となり、やがて、元の皇太子タファン(後の第15代元朝皇帝)と高麗のセジャ、ワンユ(第28代高麗王である忠惠王(チュウケイオウ)がモデルとされるが、史実ではかなり人間的に問題があった人らしく、脚本的に好人物としてドラマ化されている)と出会い、この2人の冷や飯食いと共に、元の丞相のヨンチョル一族との壮絶なバトルを展開していく。このバトルには2面性がある。1つは、ヨンチョル(多分、エル・テムルがモデルとなった人物であろう)に象徴される権力闘争。もう1つは、丞相の娘であるタナシルリ/タナシリ(ペク・ジニが好演、エル・テルムの娘のダナシリがモデルと思われる)との女の闘いである。
奇皇后(キファンフ、蒙古名ではワンゼクトゥ(完者忽都))という人物は、元朝(フビライハンの一族)最後の第15代皇帝である順帝トゴン・テムルの皇后で、正確な年代は不明だが1315年 - 1370年まで実在した方らしい。一説には、トゴン・テムルの次の皇帝(北元の2代目皇帝)として息子のアユルシリダラ(昭宗)即位の画策や、高麗王朝への様々な干渉など行った人物とされ悪女とされている面があったが、ここにも脚色によるドラマ化があるらしい。
今時、女性大臣の数が話題に上る国においては、このドラマのメッセージの強さがわかる男子(オノコ)がどれほどいるのか?それが、これからの国づくりに影響をおよぼすのではないか。
以上
平成27年4月