コラム KAZU'S VIEW
2014年02月
ソチ冬季オリンピックの感動劇場
2014年2月7日から23日まで、ロシアのソチで開催された第22回冬季オリンピックのテーマは、Hot. Cool. Yours.:「心はホットで、頭はクールな、みんなの大会」であった。開会式は様々な趣向が織り込まれ、芸術性に富んでいたが、印象は薄いような気がした。その原因の1つに、選手入場の際に表示される各国の地図が、ロシアと国境問題を持つ国の場合は不鮮明なものであったことがある。これは、かなり政治性を含む作為性を感じ、本来、オリンピック憲章で明言されている「政治的宣伝活動は認めない」ことに抵触していたことがある。しかし、各会場でメダリストにブーケを手渡す「フラワーセレモニー」を行った後、競技会場とは別のソチ・オリンピック・パークのメダル・プラザで表彰式を行うという試みは新鮮であり、正に、心はホットで、頭はクールな、を体現していた。期間中に起こったウクライナ共和国のクリミア地域のロシア帰属問題に関わる紛争も、今回のオリンピック大会を重々しい雰囲気に包み込んだ。
日本のメダル獲得数は、金1個、銀4個、銅3個の合計8個と長野オリンピックに次ぐ獲得数となった。ちなみに、メダル獲得数ランキングでは、1位ロシアで32個(金メダル12個、銀メダル11個、銅メダル9個)、次いで、アメリカ27個(9、7,11)、ノルウェー26個(11,5,10)の順で、日本は11位(8個のメダル獲得国は韓国、チェコ、スロベニアを含め4カ国)であった。しかし、メダル獲得に関わらす、多くの感動シーンが日本選手によってもたらされた。その中でも、女子ジャンプの高梨沙羅(タカナシ サラ)選手、女子フィギアシングルの浅田真央(アサダ マオ)選手、そしてフリースタイルスキー・モーグル女子の上村愛子(ウエムラ アイコ)選手が私的なトップスリーシーンであった。この3人の女子の年齢差はダブルスコアである。その意味で、今回のオリンピックはスポーツ界での世代交代が象徴されていた。しかし、その感動は、競技の域を超え、プレーを楽しむ姿勢の共感性が基礎となっているような気がする。唯一、男子フィギアシングルの羽生結弦(ハニュウ ユズル)選手のドラマと金メダル獲得が一矢を報いた感がある。
以上
平成26年2月