コラム KAZU'S VIEW

2012年10月

珠洲岬のランプの宿でテレビのない一夜の時間価値を満喫できた経験

家内が快気祝(カイキイワイ)を一家でやろうと言いだして、能登半島の先にあるランプの宿という所で親娘3人で一泊することになった。その宿は急峻(キュウシュン)な崖下(ガケシタ)にあり、駐車場から車1台がやっと通れる位の細い道を降りて行く。この道をマイクロバスがスイッチバックで降りて行くが、これが結構スリリングであった。ドライバーはランプの宿のご主人で、刀禰(トネ)さんという方であった。大変珍しい字の名字(ミョウジ)だとおっしゃっていた。また、この旅館は400年以上の歴史を持っていること、部屋の稼働率も高く、週末の予約を取るのは大変難しいことなども教えてくれた。
部屋は離れで、部屋の前はすぐ日本海になっており、窓を開けると波の音が波動感(ハドウカン)とともに体感できる場所(トコロ)であった。部屋に入ってから、何となく違和感を持ったが、その理由はテレビが部屋にないことであった。日没の夕焼けに、夜の帳(トバリ)が降りると、海は黒一色となり、遠くに船の明かりが微(カスカ)に見える。夜空には月が出ていた。部屋の照明はランプの薄明かりのみであった。そして、部屋の下にはプールがあり、そのプールには青色の水中照明が幻想的な雰囲気を醸(カモ)しだしていた。月明かり、そして潮騒(シオサイ)に満ちた時と空間を満喫(マンキツ)できた。テレビのない時間と空間の価値が明確に理解できた。波のくり返す音が、時の流れを刻んでいることを体感しつつ、時間の流れを楽しむことができた。風呂は部屋の内風呂と洞窟風呂・露天風呂が楽しめた。特に、内風呂にはプールと同様に水中照明が施されていて、檜(ヒノキ)の香りと共に海と一体感を持てる不思議な空間と時間を体感できた。
今は、便利なナビゲーションシステムがあるので、地図を見なくても目的地に難なく行ける、便利な時代になっている。宿泊した場所は珠洲(スズ)市三崎町寺家(ミサキマチ ジゲ)というところであった。この辺一体は、珠洲岬(スズミサキ)と呼ばれるらしく、禄剛(ロッコウ)崎、金剛(コンゴウ)崎や長手(ナガテ)崎などがあり、日本三大聖域の一つと言われているとのこと。高台の駐車場の縁(フチ)には、パワースポットと言われる小屋のようなものがあった。そこからは日本海が見下ろせたが、それほど「気」は感じなかった。ちなみに、日本の三大聖域とは静岡県の富士山、長野県の分杭峠(ブングイトウゲ)と石川県の珠洲岬だという。禄剛崎には禄剛崎灯台(別名は狼煙(ノロシ)灯台)があり、その場所はちょうど内海(宇出津・穴 水・七尾側)と外海(輪島・門前・富来側)の境目になっていて、眼下の海は南からの対馬海流(暖流)と北からのリマン海流(寒流)が出会う場所になっている。禄剛崎灯台から2つの海流が出会う潮目(シオメ)が見えたような気がした。2つの海流から水の流れ、陸地から北に向かう風の流れの3つが集結するため、日本でもまれなウルトラパワースポットと言われる。なお、日本を取り巻く海流については2011年2月のコラムで触れたので、関心のある方は参照して欲しい。
時間に追われる生活から、時間の流れを海や陸の水や風の流れで体験できた時間価値はなにものにも代えがたいものであった。家内の快気祝は私のパワー充電の機会となった。
以上
平成24年10月

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