コラム KAZU'S VIEW
2012年03月
小原糸子女史にみる日本男児の姿
NHKの朝ドラの「カーネーション」を楽しんだ。このドラマの主人公は小原糸子という大阪岸和田の服装デザイナーであり、オハラ洋装店の経営者である。その3人の娘はいずれも世界的服装デザイナーである優子(ユウコ)、純子(ジュンコ)および里子(サトコ)という設定でストーリー展開されていた。このドラマは、2006年に93歳で死去した小篠綾子(コシノ アヤコ)という実在の人物の生涯に基づくフィクションストーリーであり、渡辺あや氏により脚本化された。生前、綾子さんご本人が自分の人生を朝ドラにしたかったという願いがかなったものだそうだ。ドラマに登場する3姉妹とは、コシノヒロコ、ジュンコ、ミチコの「コシノ3姉妹」である。主人公役は幼少期を二宮 星(ニノミヤ アカリ)、壮年期を尾野真千子(オノ マチコ)、そして晩年は夏木マリの各女優が演じていた。このドラマの主題歌は椎名林檎(シイナ リンゴ)さんが連続テレビドラマのために初めて書き下ろした、ドラマと同じタイトルの「カーネーション」である。カーネーションの花言葉は「情熱」、「母の愛情」である。尾野真千子女史が演じる小篠綾子氏のイメージは脚本の色か、主演女優の色か判別できないが、父親からの影響で、女性ではあってもその心は大和魂(ヤマトダマシイ)を持つ日本人を感じさせる人物像として描かれていたような気がする。岸和田の楽車(ダンジリ)に憧(アコガ)れ、父親の呉服屋を引き継ぎ、洋装店として再起業し、マーケット開拓のために奔走する姿は仕事に生きる男そのものである。父親から体罰を受けるシーンも多く見られたが、それは、今は無き、かつての日本の頑固親父(ガンコオヤジ)のイメージを彷彿(ホウフツ)とさせる。今は遠い日本の昔話となったシーンである。3人の娘役を演じた3名の女優も、その個性を表面的および内面的の両面から上手に表現していたように思う。中でも次女の純子(ジュンコ)役は、その子供の頃からの強烈な個性がとてもアーテステイックで印象的であった。長女と末娘役のキャラクターと対照的であったことも、そのような印象を強くしたのであろう。晩年は3人の娘をファッションデザイナーとして自立させた後で、自らもファッションブランドを立ち上げ、また、ボランテイア活動にも取り組んでいる姿は、子育てを終え、娘達をライバルとして認め、彼女達にファッションと言う世界で挑戦しようという親の心意気は正に、爽快感(ソウカイカン)すら感じさせる。今の日本男児が忘れかけている大志(Ambitious)ではないか。そんな、気持ちを抱かせてくれたテレビドラマであった。なにやら寂しい気持ちを感じさせる部分も印象に残った。
以上
平成24年3月