コラム KAZU'S VIEW
2012年02月
演歌女5人衆が歌う心の糸は新たな日本価値創造の先駈けになるか?
久しぶりに演歌番組を見ていたら、そうそうたる演歌女性歌手5人が歌う「心の糸」という曲を聴いた。その5人とは藤(フジ)あや子、伍代夏子(ゴダイ ナツコ)、坂本冬美(サカモト フユミ)、香西(コウザイ)かおり、長山洋子(ナガヤマ ヨウコ)である。この心の糸の作詞はきたのえいじ氏、作曲はヒット曲、吾亦紅(ワレモコウ)を作詞し、自らも歌った杉本真人(スギモト マサト)氏である。そして陽が昇り 朝の幕があく 昨日までの悲しみ ・・・・、あなた。私がここにいることを忘れ・・・。 あなた 歩いた道のほとり・・・。心の糸を手さぐりながら夢の続き・・・・まぶた閉じてひとり今更ながら思う。心の糸をほどかないで・・・・。心の糸を結び直して・・・・・。心の糸を ほどかないで。・・・心の糸を結び直してうつむかずに・・・・。
この詩(ウタ)の中には「心の糸」という単語が頻繁(ヒンパン)に出てくる。漢和辞典を引くと、心(ココロ)とは考え、感情、意識などの働きとなっている。ところで、「情」という字もココロと読む。その意味は、気持ち、ものに感じて起こる心の働き、他を心から思う気持ち、異性への愛などが上がっている。「心の糸」のココロは「情」の方がイメージとして近いような気がする。
ところで心理学の世界には感情をその特性によって、「情動(ジョウドウ)」と「気分:Mood」の2つに分けることがある。情動とは、感情の強さが大きなものであり、その原因が明確で、急激に生起し、短時間で消失する。また、生理的反応、例えば発汗(ハッカン)などを伴うものである。これに対し、気分は感情の強さは小さく、比較的長時間継続する特性を持っている。よく、「鉄は熱いうちに打て!」と言うが、これは人が行動の変化を起こす際には、情動という心の動きを利用することが得策であることを意味している。また、情動が起きる原因は明確であることから、この原因を意図的に作り出すことで人の行動を変えることもできよう。従って、気分の状況から人の行動の変化を誘導することは難しいということになり、人が行動を変えるきっかけとなるココロの動きは、そのタイミングが重要であることわかる。
男が女の情を詩にし、曲にして、女性が歌う。この曲を歌う女性演歌歌手は昨年の東日本大震災の応援歌として歌い続けているという。間もなく、その震災から1年という年月が過ぎようとしている。心の動きである感動をどのように行動に結び付けるのか。その感動が情動の状況が機会であろう。この一年、我々日本人は何を学び、何を実践して来たのであろうか。多くの悲しみや自然の驚異、そして人間の浅知恵を思い知ったこの機会を、そして多くの同胞の犠牲の上に立つ我々日本人の将来に対し、果たしてその犠牲を乗り越えるだけの知恵と工夫と努力を、どれだけしているのだろうか。そんな疑問を自らに感じる瞬間(トキ)を過ごした。
以上
平成24年2月