金沢工業大学 生体機構制御技術研究所
所長  十河 憲夫

 近年のロボットは、運動機構を関節リンク構造により構成し、各関節部分にそれぞれセンサーとアクチュエータを用い、それらをシステム的に制御することによって運動を行っています。その際、その運動を精度よく運動させるには、複雑な制御演算等により行うことが必要となります。しかしながら人間をはじめ動物の運動は滑らか、かつ、俊敏な動作を可能としています。この差異は、生体構造が有する拮抗する二関節筋の働きによるという知見が生物学の分野で明らかにされています。工学分野においては、生体機構の特性を有効に活用する検討は、未だ不十分であり、実用化も今後の課題と考えています。これらのことから、工学が生体の機構制御システムから取り入れるべき知見は、拮抗二関節筋構造以外にも多数あると考えられます。
 そこで当研究所は、工学、生物学、医学等の多岐に亘る技術情報を統合することによって、生体が持つ機構制御技術を工学分野に応用し、ロボット開発や機械機構への応用面にブレークスルーをもたらすことを目標としています。
 本研究所は、得られた成果を積極的に発信し、次世代の制御工学の研究拠点を形成することを目指しています。