パオロ・チエッカレリ 教授, エトラ・コニー・オッチリアーニ 氏
「Towns in Form of Palaces Two Italian cases: Ferrara and Urbino」
(御殿を持つ都市：フェラーラとウルビーノ、イタリアの二都市を事例として)

イタリアの２つの都市、フェラーラとウルビーノを事例として取り上げ、金沢との比較を考えます。フェラーラ市は、長期間続く都市形態、混合した社会基盤、多様で革新的な経済、高い生活の質、 オープンスペースと持続可能な交通という特性を持っています。また、ウルビーノは様々な段階を経て変化してきた都市ですが、 現在の経済の土台となるものとして、教育施設、地域マネジメント、文

化的活動、観光、生物学的農産品とその加工が挙げられます。 これらの２つの都市から得られる重要な要素とは、次のようなものがあります：古くからの形態と構造を保っていることが都市の資源であること、 柔軟で多様な経済構造をもっていること、独自な、高い生活の質をもつこと、持続可能な機動性を持つこと、自然との関係、ということです。 都市に対する疑問とは、金沢にも当てはまることで

すが、強力な特徴を持つ歴史的な地域と、開発によって断片化されたエリアとの関係はどうあるべきか、 ということなどがあります。フェラーラとウルビーノの経験が私たちに伝えることは、歴史的な地域は「遺産の島」として存在するのではなく、大きな戦略計画の中の 一部であるべきだということです。これは金沢にとっても意味ある示唆ではないでしょうか？

講師紹介

任昌福(イム・チャンボク) 教授
「Catalytic Project in Castle City of Seoul」(ソウルの城下町の触媒的プロジェクト)

城下町としてのソウルの構造を紹介し、その中での「触媒的プロジェクト」としてチョンゲチョン（清渓川）プロジェクトを紹介します。 チョンゲチョン・プロジェクトの効果は、環境的な効果、都市中心部にとっての新しい都市デザイン、関連する公共プロジェクト、という点がありました。 プロジェクトによって、第一に、環境的側面から見ると、大気汚染、熱、風、という点から効果がありました。 また、様々な動植物が戻ってきました。第二に、プロジェクト周辺のプランニングの価値、建物の高

さ、概念的な都市中的農産品とその加工が挙げられます。 これらの２つの都市から得られる重要な要素とは、次のようなものがあります：古くからの形態と構造を保っていることが都市の資源であること、 柔軟で多様な経済構造をもっていること、独自な、高い生活の質をもつこと、持続可能な機動性を持つこと、自然との関係、ということです。心部の構造という変化がもたらされました。 第三に、関連する公共プロジェクトとして、都市内の回廊が新しく生まれてきました。それは歴史的回廊、デジ

タル・メディア回廊、緑の回廊、クリエイティブな回廊と呼ばれるものです。 また、南山へのアクセスとして新しいルートも生まれました。チョンゲチョンは、インフラによって周辺を再生したものであると言えます。それは、モダンからポストモダンへの変化であり、 持続可能性、歴史、継承性を再生するために、公共のインフラを再生したものです。また、他の同様な水辺空間の再生のモデルにもなりました。 人間らしい、持続可能な環境を得るためには、「触媒的な」プロジェクトが重要であると言えます。

ニコラス・デプトゥー 教授
「Redesign of Historic cites / Between architectural issues, culture and social realities」
(歴史的都市の再デザイン／建築、文化、社会的リアリティの間で)

「遺産」というとどうしても西洋的な基準では「石造物」を思い出してしまいますが、目に見えない遺産も今日は重要なものとなっています。 都市を考える上では、さらに大きな視点を持って考える必要があります。近年の歴史から考えると、社会的側面も重要であるといえます。
1.目に見えるもの
歴史的な建物を保全するには、知識が無くてはあり

得ませんし、その知識は文化が無くては成り立ちません。 よって、そういった「石造物」を守るには、ある程度の距離を持って見なくてはいけません。 宝石箱に入れておけばいいというものではないのです。
2.目に見えないもの
これは単に文化や伝統によってなりたつものではなく、毎日の生活やコミュニティなど、社会的生活を

形成するものについても考えるべきです。 こういったものを考慮することで、建築、都市デザイン、政治の間の明快な関係が形成されるのです。
3.建築家の役割とは？
リアリティと、様々な面からの遺産の価値を理解し、優先順位をつけることです。また、意味ある市民参加を行うことによって、 民主的なプロセスによる歴史的建造物の再生を行うことができます。

ファビオ・トデスチーニ 名誉教授
「Cape Town, South Africa: A Castle Town from the Mid-1600’s―
Historic City, Livability, Sustainability, Continuity and Resilence」
(南アフリカ、ケープタウン：1600年代半ばの城壁都市−歴史都市、居住性、継承性、復元力)

オランダの東インド会社によって、1652年にケープのテーブル湾に居住地を設けました。そのとき彼らはアフリカの南端に休憩のための基地を設立したいと考えており、 それは大西洋や、インド海やほかの海へと海軍が進行する中での、オランダと極東の中間の宿として設けたいと考えていたのです。 1660 年までには、新しい砦に代わられており、 それらは未だに現存しています。このケーススタディの論文は、城郭都市としての何世紀にもわたるケープタウンの進化について記述するものであり、 歴史都市、居住性、継承性、復元力に対する観察についてまとめたものです。

有賀隆 教授
「Towards Living Heritage Management for the Historical Eco-Cultural City KANAZAWA in Future」
(現代に生き続ける歴史と生態文化都市・金沢の未来)

金沢は城下町以来の歴史と文化が、生き生きとした里山環境や水系と一体となって息づいている都市です。いわば「生態文化都市」としての金沢の未来へ向け、次のようなまちづくりの提案をしたいと思います。
1.金沢は歴史・文化を反映する独自の社会経済活動と貴重な自然環境を活かした市民活動とが一体となり持続可能な都市・地域の新たなモデルとなること

が大切です。 都市の様々な場所と対応する小さなエコロジーを再評価しまちづくりへ活かします。例えば歴史的な用水、水系ネットワークの保全・再生と連携した街区のデザインや 地域の神社や寺町の境内など文化的な緑環境と連携した市街地デザインを実現していくことが大切です。
2.城下町以来の中心市街地では多様な世代が生き生きと住み続けられ、小規模な伝統産業や新しい市民

産業の立地とも近接する多元的な都市コミュニティの姿を実現することが必要です。 同時に歴史市街地の郊外では都市と一体となって形成されてきた農地や緑地の多面的な環境機能に着目した里山文化活動とも連携した市民コミュニティの実現が大切です。 こうした都市づくりを通し、まさに現代に生き続ける生態文化都市として金沢が新たなモデルとなるのではないかと思います。

Prof. Paolo Ceccarelli, Dr.Connie Etra Occhialini
“Towns in Form of Palaces Two Italian cases: Ferrara and Urbino”

Historic cities of different regions of the world face a number of similar issues. In order to give them positive answers it is useful to make comparisons and share the experiences about conservation, revitalization and innovation made in different places. This presentation deals with a number of issues faced by Italian historic cities that are

somehow similar to Japanese Castle Towns. Among many possible examples we chose two cases that have some physical, economic and social resemblances with Kanazawa. They are the cities of Ferrara and Urbino. They are much smaller in size than Kanazawa (Ferrara has less than 150,000 inhabitants and Urbino 15,000) but their

history is similar and they face comparable economic and social issues. This will help to better understand the Italian approach to the conservation and revitalization of historic cities and evaluate whether some suggestions can be drawn for Japanese policies.

Instructor

Prof. Yim, Chang Bok
“Catalytic Project in Castle City of Seoul”

1. Introduction of Seoul as a Castle City
2. What is the “Cheonggyecheon Approach”: “Becoming catalyst of downtown regeneration by Changing the out of place infra-structure of downtown to humane & continuous environment”

3. Cheonggyecheon Effect
1.Environmental Effects
2.New Urban Planning for Downtown
3.Cheonggyecheon Related Public Works

4. Conclusion: To make humane & sustainable environment, catalytic approach can be an important role in historic urban regeneration. Comprehensive Approach such as Geo-Eco-Urbanism is becoming more crucial

Prof. Nicolas Depoutot
“Redesign of Historic cites / Between architectural issues, culture and social realities”

The idea of heritage is historically linked to what we call "old stones" in our old West countries. Today, intangible heritage is also considered to be preserved as a value that brings people together. Building the city on the city, or redesign historic city, requires consideration of the heritage in an enlarged

way to make it visible and alive. The recent history of our cities also teaches that the social dimension is also crucial. Maybe it is also something to do with heritage with a “big H” …

Prof. Fabio Todeschini
“Cape Town, South Africa: A Castle Town from the Mid-1600’s―
Historic City, Livability, Sustainability, Continuity and Resilence”

The Dutch East India Company1 established a settlement on the shores of Table Bay at the Cape in 1652: it wished to establish a refreshment station near the southernmost tip of Africa, as a halfway house for its fleets plying the Atlantic, Indian and other oceans between the Netherlands and its various outposts in the Far East. By the 1660’s a timber and earth fort constructed in the early years was replaced by a large, five-pointed stone Castle, which is still extant. This case-study paper describes the evolution of Cape Town as a castle town over the centuries and concludes with some observations about the historic city, livability, sustainability, continuity and resilience.

Prof. Takashi, ARIGA
“Towards Living Heritage Management for the Historical Eco-Cultural City KANAZAWA in Future”

Suggestion of new approaches to urban visions and designs for Kanazawa not only considering old and new in a contradictive relationship, but also seeking to make them balanced and complementary.
1. Ecology and Morphology Restorations for a Sustainable Urban Region : -Issues related to “Re-assessing various values of water systems,” -“Re-defining usages of abandoned urban lands,”-“Eco-

integrated community restorations and designs,” (advanced case studies of rapid declines of populations)-“Integrated Approaches of Heritage Management and Urban Design with Sato-Yama, Sato-Umi Bio-Diversity Restorations”
2.Redefining Inner-Urban Settlements and Restructuring “City-Country Integrations”: -Holistic approaches for integrated land-uses, eco-systems, and human-settlements, -Environmental designs

for restoring natural ecologies for livable socio-cultural activities
3.Creating Mutual Heritage Management and Urban Design Approaches as a model program for the Eco-Cultural City in Future: -Re-combining citizens’ initiated innovative socio-cultural activities, educations, performances, and businesses with various historic and ecological communities, pubic/private gardens, long/short-range views, architectures, neighborhoods and places.