1.進路 |
Q |
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東大での講座の修了生のバックグラウンドと具体的な進路を教えていただきたい |
A |
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医師や看護職が多く、同数くらいである。その他のコメディカルを入れると半数くらいが医療関係者。製薬企業関係者も多い。夏の集中講座では、約4分の1が大学教員であった。
進路としては、何割かは倫理委員や倫理委員会の事務局になったが、多くは元の仕事に戻る。まだ2期で80人の修了者を出しただけでわからないが、最近は、東大の医療政策系方々との交流もあるようだ。
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2.EBMエシックス |
Q |
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エマージングテクノロジーなど、その人体や環境への影響がわかっていない科学技術に関して倫理的判断を迫られる場面が出てきているが、医療分野では、がないような案件に関してはどのような手法や手続きで倫理的判断をしているのか。 |
A |
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医療でも、エビデンスがないところがたくさんある。診療ガイドラインなどでも、エビデンスがないのに「えいっ」と決まってしまうことがある。EBMエシックスといったのは、エビデンスがあるかどうかチャックということである。エビデンスがあるところ、ないところ、強いところ、弱いところの仕分けをしていくという作業が必要です。
エビデンスがないときにどう判断するかは、政策決定の場と、臨床場面と分けて考えたほうがいいと思う。臨床場面では、患者にエビデンスがないリスクを伝えて、自己決定をサポートしていけばいいだろう。政策決定の場では、他の国の同様の事項に関する政策を取っているかの基礎資料を集めるべきで、それがないと、そのときどきの力関係で決まってしまう。
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3.再生医療・クローン・ES |
Q |
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再生医療・クローン・ESは、「領域を超えた問題の誕生」という表現がなされましたが、このガイドラインつくりは、各種のガイドラインを統合して考えていくというようなイメージなのか。 |
A |
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ガイドラインは、想像された問題について各個撃破の仕組みになっている。ESなどでは社会的影響も大きいので、パッチワーク的に過去のガイドラインを重ね合わせるだけではだめだろう。各ガイドラインを超えた議論が必要。ESなどもそうだが、医学研究の最先端をしっかりつかむのは重要。もしかしたら、実現不可能なことがいわれているだけかもしれないから(ESが再生医療に使えるというのも、本当のところは誰もわかっていないのでは)。最前線の状況と可能性をしっかり把握して、規制について考えていくべきである。
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Q |
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本当に最先端の研究に規制が適用されるときの判断とは、具体的にどのようになされるのか。 |
A |
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関西医大の再生のケースだったか、効くか効かないかわからないために1年間くらい審査があったり、審査が戻されたりしたことがあった。最先端の難しいものについての方法論はまだ確立されていない。
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4.東大のCBELの現状について |
Q |
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夏の短期コースは地方の方が多く参加しているのか。倍率は、290人の希望者に対して80人の受講者か。受講生を選ぶ基準は。 |
A |
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通常のコースは木曜日の夜開講なので近くの方がおおいので、夏は優先的に地方の方を採ろうとしている。倍率は、1回目は5から10倍の倍率であった。基準はバランスである。倫理委員会と同じ構成にしようという発想で、職種やバックグランドでバランスを考える。もうひとつの基準は、すぐに仕事に役立てられる人。あとは早い順とか、何度も申し込んでくれている方を採るなどしている。
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5.東大のモデルはどこ? |
Q |
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スタッフの方を海外のプログラムに送って受講させたとのことだったが、東大CBELのモデルになるようなプログラムは諸外国にあるのか。 |
A |
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ケネディ倫理研究所やオーストラリアがそうである。ケネディに行くと、世界中の倫理教育のシラバスが集まっている。そこで30くらい集めて、その中でコアなものは何かを皆でチェックして、それを重点的に受けに行き、コアカリキュラムを作った。
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Q |
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ケネディのそれはウェブで見られるのか。 |
A |
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見られると思う。
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