第1回 Ethics Crossroads Town Meeting 平成17年2月4日(金)14:00~17:00
「Ethics Crossroads の形成と科学技術倫理の構築―本研究課題の概要説明」
札野 順 氏(金沢工業大学科学技術応用倫理研究所所長、本プロジェクト研究代表)
講演概要
本プロジェクト「Ethics Crossroads の形成と科学技術倫理の構築」は、独立行政法人科学技術振興機構の社会技術研究システム公募型プログラムによる助成によるもので、平成16年12月より19年11月まで3年間で遂行される。
金沢工業大学応用倫理研究所を中心として、産・官・学・市民などの様々な社会的セクターそして様々な文化圏(日本、アジア、北米、欧)からの人々が集い、科学技術と価値に関する対話の場(「Ethics Crossroads」)を形成し、科学技術倫理に関する価値の明確化および実践的倫理プログラムの構築を行うものである。具体的には、科学技術倫理の知見の蓄積と、科学技術倫理教育プログラムの開発を、教育実践を含めて行なう。
近年、科学技術倫理への関心が高まっており、一方で、企業では不祥事などもきっかけとして企業の社会的責任に力が入れられ始めている。しかし、実際の科学技術倫理の実践となると、まだその方法論は確立されておらず、科学技術倫理学者は科学批判をしたいだけなのではないかといった不信感もあり、実践が容易に進んでいるとはいいがたい。それを解決すべく、科学技術倫理の総合的研究と教育プログラムを開発することが本プログラムのミッションである。特に、これまで欧米中心に情報発信されてきた科学技術倫理分野において、アジアの価値観をふまえてのアジアからの発信をしていくことを目指す。
研究は、金沢工業大学応用倫理研究所を中心として、その他、大学や企業からのアドバイザー、共同研究者によって行なわれる。技術/技術者倫理、企業倫理、生命倫理、環境倫理、情報倫理、医療倫理、NPOなどの各分野からの国内外の専門家の協力を仰ぎ、知見を得ていく。ETCM(Ethics Crossroads Town Meeting)や国際シンポジウム・ワークショップの開催、具体的な教育プログラムと効果測定法の開発、その実践と実践結果を踏まえての改善といったことを行なっていく。
講演内容
1.プロジェクトの助成概要・期間・課題、目的、内容
1−1.助成の概要・期間・課題
本プロジェクト「Ethics Crossroads の形成と科学技術倫理の構築」は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)による社会技術研究システム公募型プログラム(領域「社会システム/社会技術論」による研究助成プロジェクトである。
研究期間を平成16年12月1日から平成19年11月30日とし、3年間の研究費総額約5千9000万円(間接経費をのぞく)である。
1−2.研究の目的
研究の目的は、金沢工業大学科学技術応用倫理研究所を中心に、さまざまな社会的セクター(産・官・学、NPO等)、組織、文化圏(日本、アジア、北米、欧)からの人々が集い、科学技術と価値に関する対話の場(「Ethics Crossroads」)を形成し、科学技術倫理に関する価値の明確化および実践的倫理プログラムの構築を行うことである。
1−3.研究の内容
研究は、理論面の研究と科学技術倫理教育の実践の2つからなる。
理論面としては、21世紀の科学技術者の行動規範に関する総合的な考察を、世界各国の倫理規範の歴史的・社会的・哲学的分析に基づいて行うとともに、日本およびアジアの価値観を歴史的かつ文化人類学・社会学的に調査する。
実践面としては、大学や高等教育機関では、教育課程全体を通じて行う倫理教育プログラム(Ethics Across the Programme)を設計・開発するとともに、その教育効果を測定・評価する手法を開発する。また、企業における研修において活用できるプログラムを設計・開発する。さらに、研究者・教育者・指導者層を対象に、倫理的能力の開発・付加を促す活動を展開する教育機能について検討・実践する。
理論面で研究をし、教育・研修プログラムとして開発し、実際に教育や研修プログラムとして活用し、評価し、その成果をさらに分析研究し、改良を加えるというサイクルで行っていく。
2.今なぜ、このプロジェクトをするのか
2−1.社会技術という夢
このプロジェクトのミッションは、社会技術(Science & Technology for Society)の実現である。社会技術の定義は、様々にあるが、もともとの英語であるScience & Technology for Societyつまり社会に役立つ科学と技術というような意味である。
科学技術自体の研究や開発自体が夢があり、価値のあるものであるが、しかし、一方で科学技術が社会的利益と反するものであってはならない。近年、企業での不祥事なども話題になったが、金沢工業大学の学生も技術者として将来企業で働き、そのような問題の当事者となったり巻き込まれたりすることもあるだろう。それらに、対応できる力を身につけさせたい(←札野先生help!お願いします。石原の言葉が入りすぎ)。
つまり、科学技術における「価値」の明確化とステークホールダー間(特に公衆、科学技術の実践者―科学者・技術者、意思決定者)の価値の共有を目指したく、それこそが科学技術倫理の構築であると考えている。
2−2.高まる科学技術倫理への関心
現在、社会において、科学技術倫理への関心が高まっている。エシックスブームともいえる一連の流れの中での科学技術倫理への関心の高まりがあり、具体的に制度も整備されつつある。国外のみならず、国内においても、JABEEの動き、技術士法の改正、学協会の動き、科学技術基本計画(特に第2期科学技術基本計画において科学技術倫理は重要課題)などがある。また、近年では、経済のグローバル化や企業不祥事を背景に、企業の社会的責任(CSR)にも各企業が力を入れ始めており、ISOガイドラインなどもに含まれている。
2−3.科学技術倫理構築に立ちはだかる壁
しかし、科学技術倫理の構築の前に立ちはだかる壁がある。まず、科学技術倫理自体が新しい概念であり、「科学技術倫理」に関する雑多な考え方が蔓延し、誤解や誤認もある。これまで科学者・技術者・その他の間でそれについての対話がなされていなかったので、どこにいっても「倫理と道徳はどう違うのか」「個人の道徳と社会の道徳はどう違うのか」「大学や企業に入ってから倫理教育しても無理なのではないか」といった初歩的な同じ議論の繰り返しで、実効的な議論が展開できない。
また、科学技術倫理教育も近年では注目が集まってきているが、過去の歴史におい教養教育の理念がさけばれながらも結局は形骸化したように、技術者倫理教育も形骸化する可能性もある。
「サイエンス・ウォーズ」といわれ一時話題になった動きもある。すなわち、科学技術倫理学者も含め科学論学者は単に科学批判をしているだけではないか、ということであり、科学者・技術者側と科学論学者の間と不信と反発があることも否めない。
サンマイクロシステムズの創始者の一人であるBill Joyは「自由に科学技術を発展させた場合にどうなるか」ということを問い、「未来は我々を必要としていない」ということを述べ、すなわち科学技術の中心にいる彼が、科学技術をこのまま進めていくことに対する問題を指摘した。この彼の、科学技術のこれ以上の発展は未来社会にとって問題がある、という警告が現実化してきているという側面もある。
2−4.だからこそ今、科学技術倫理の総合的研究を!
このように、科学技術倫理への関心が高まり必要性は認識されつつも、まだ統合的な知見が蓄積されておらず、また、科学者・技術者の間に科学技術倫理への警戒心がある中で、何が必要だろうか。それは、改めて、科学技術倫理に関し、理論・実践の両面から、総合的・体系的に検討し、知見や経験を蓄積をしていくことではないか。
しかしながら、現在までにおいて、生命倫理のセンターは世界にいくつか存在するものの、科学技術倫理全般のセンターは世界にまだ存在していない。しかもこれまでの技術者倫理やその教育は、プロフェッション、知的専門職業集団が強い意志を持った個人として自律的に意思決定をできる人を育てるという方向性のアメリカ型技術者倫理教育が主流であったが、これからは日本人や日本文化にあう形の技術者倫理やその教育を構築必要がある。これまで、このような分野の研究や実践は英語圏中心であったが、世界的にも生産の拠点はアジアに移ってきているわけであり、そしてここは日本である。アジアや日本の価値観を技術者の中にどう反映させていくか、ということを探求し構築していく必要がある。
そこで、我々の本プロジェクトこそが、それを担っていくことを目指すのである。
3.研究推進体制(拠点、プロジェクト組織図、推進会議、アドバイザー)
3−1.研究の拠点
研究の拠点は、主に以下の2箇所である。
- 金沢工業大学メイン(野々市)キャンパス:科学技術応用倫理研究所(ACES)
共同研究員などのためのワークショップおよびその他の研究・教育活動
- 金沢工業大学赤坂研究所(及び虎ノ門キャンパス):ACES東京サテライト
Ethics Crossroads Town Meetings
学協会関連の情報収集
CSR関連の情報収集
<@の金沢工業大学科学技術応用倫理研究所について>
- 1997年4月1日設立
- 研究員18名(兼務16名、専任1名、理事1名)
- 客員研究員13名(+2名<台湾>予定)(ほとんど海外)
- 特色:産学連携、学際的、国際的、機動力
- 客員研究員
- Caroline Whitbeck ケース・ウエスタン・リザーブ大学・教授
- Heinz Luegenbiehl ローズ・ハルマン工科大学・人文社会科学科・教授
- Scott Clark ローズ・ハルマン工科大学・人文科学科・準教授
- Michael Davis イリノイ工科大学・教授/同大学専門職倫理研究センター上席研究員
- Larry J. Shuman ピッツバーグ大学・工学部・教授・副工学部長
- Barbara M. Olds 全米科学財団(NSF)/コロラド鉱山大学・教授
- Bertrand Heriard リール・カトリック大学・教授/ヨーロッパ技術倫理センター所長
- Christelle Dideier リール・カトリック大学・講師
- Ibo van de Poel デルフト工科大学・講師
- 梅津 光弘 慶応義塾大学・商学部・専任講師
- Alistair Gunn ワイカト大学(ニュージーランド)・人文学部・準教授
- 廬 泰天 忠南大学校工科大学・教授/大韓工業教育学会会長
- Ovid Tzeng 中央研究院(台湾)副院長
3−2.研究の組織図
3−3.推進会議
本プロジェクト研究推進体制の中で、いわば意思決定機関・ヘッドとなるのが、「推進会議」である。そのメンバー構成(案)は以下のとおりである。
3−4.アドバイザー
本プロジェクト組織は、「理論面」「SRI/CRS関連」「企業倫理実践面」「倫理綱領・倫理教育プログラム」の各側面についての、企業や大学からのアドバイザーから構成される。
- 理論面:北海道大学大学院文学研究科(倫理学/生命倫理/医療倫理/応用倫理学/科学技術倫理)
- SRI/CSR関連:(株)インテグレックス(上場企業の倫理度に関する調査データ/SRIのネットワーク)
- 企業倫理実践面:東京電力(株)企業倫理グループほか
- 倫理綱領・倫理教育プログラム:日本の主要な科学技術系学協会
4.何をするのか
本プロジェクトは、フェーズ1から3までの各段階に沿って推進される。
- Phase 1(研究推進のための基盤整備):Ethics Crossroadsの形成
- Phase 2-A(理論的研究):21世紀の科学技術者の行動規範に関する総合的な考察
- Phase 2-B(実践的研究):倫理プログラムの制度設計および開発(大学教育、企業研修)
- Phase 2-C(データベース):成長・進化するデータベースの構築(人的ネットワーク)
- Phase 3 研究成果の還元(教育研究):社会技術としての科学技術倫理を教えることができる人材の育成
これらのフェーズ1から3までを通じて、下記の成果を目指していく。
@対話の場:“Ethics Crossroads”の形成
対話の場:“Ethics Crossroads”を通じて、グローバルな科学技術倫理綱領の創案・発信をし、科学技術倫理に関する国際的リーダーシップ(特に、アメリカ・EUに対する第三の極として、アジアの代表となる)を日本がとっていくことを目指す。
AEAC教育プログラム・モデルの構築および実効性の検証
今回、実践の場となる金沢工業大学でのプログラムは、EAC教育において世界最大の規模での試みとなる。そこで、教育プログラム・モデルの構築とその実効性の検証を行なう。実効性の検証については、コンピュータを用いての倫理的判断能力を測定評価するシステムの・手法を開発する。
BCSRを重視した企業倫理プログラムのモデル(技術系企業)
C高等教育・研究機関における研究倫理プログラム・モデル(含む実効性検証)
D科学技術倫理の人材育成
日本の理工系教育に根幹的な変革をもたらすために必要なクリティカルマスの創出を目指す共同研究活動として、社会技術としての科学技術倫理を(ケースメソッドを使って)教えることができる人材、また研究できる人材100人を育成する。
Eデータベース、知識・経験の蓄積
成長し進化するデータベースとしての人的なネットワークを形成する。科学技術倫理に関する専門図書/資料データベース/コンピュータ教材の収集も行い、「知的なサーバー」を目指し、価値と科学技術の再統合をすることで21世紀ルネサンスを目指す。
これらを通じ、倫理綱領のアジア的なものを発信していくことを目指す。
5.スケジュール
6.ECTMについて
ECTM(Ethics Crossroad Town Meeting)は、3年間のプロジェクト期間中27階の開催を予定している。金沢工業大学虎ノ門キャンパスを中心としてビデオ会議システムを活用して行なう。1回3時間の会議で、「ECにふさわしいテーマに関する話題提供とQ&A」と「プロジェクトの進捗状況報告・GCSEなどの継続的検討」の2部構成で行う。前半は公開、後半の進捗状況報告等は非公開で行なう予定である。
ECTM会議前半の話題提供とQ&Aの内容の内訳(案)は下記のとおりである。
運営関係 | 4回 |
企業倫理関係 | 7回 |
生命倫理関係 | 3回 |
医療倫理関係 | 3回 |
環境倫理関係 | 3回 |
情報倫理関係 | 3回 |
その他 | 4回 |
ECTMの参加者の範囲は、@技術/技術者倫理関係、A企業倫理関連、B生命倫理関連、C環境倫理関連、D情報倫理関連、E医療倫理関連、FNPO関連の各分野から募る予定である。
@技術/技術者倫理関係
- 日本工学教育協会技術者倫理WS参加者(約300名)の中から特に強い関心を持っている若手
- 技術倫理協議会(主要10団体)
- 日本機械学会技術倫理委員会
- 土木学会倫理教育小委員会
- 日本原子力学会倫理委員会
- 日本工学教育協会技術者倫理調査研究委員会
- 日本学術会議
- 日本工学アカデミー
- その他
A企業倫理関連
- 日本経営倫理学会企業行動研究分科会メンバー
- 経営倫理実践研究センター関係者
- 企業倫理プログラムを実践している企業の関係者(東京電力グループほか)
- CSR/SRI推進者(インテグレックス他)
- その他
B生命倫理関連
C環境倫理関連
D情報倫理関連
- 京都大学ほかFINEプロジェクト関係者
- 情報処理学会関係者
E医療倫理関連
FNPO関連
- 科学技術倫理フォーラム(杉本氏)
- サイコム関係者
- コンセンサス会議関係者
- その他
7.連携もしくは競合となる国際機関
科学技術倫理の関連では、下記のような国際機関、各国の機関がある。これらの機関と連携をしていくことを考えている。
<国際機関>
- UNESCO COMEST (科学的知識と技術の倫理に関する世界委員会)
- WFEO(World Federation of Engineering Organisations)世界80カ国の技術関係の学協会
- APEC
- NAFTA
- EMF
- Etc.
<米国機関>
- ABET(Accreditation Board for Engineering and Technology)米国で技術者教育の認定をやっている組織
- NSPE(National Society of Professional Engineers)
- NSF
- National Academies
- RHIT などの高等教育機関
- Etc.
<欧州機関>
- FEANI(Fedatarion Europeenne d’Asssociations Nationakes d`Ingenieurs)
- SEFI Ethics Working Group SEFI(Societe Europeenne pour la Formation des Ingenieurs)
- DUT などの高等教育機関
- Etc.
<アジア・オセアニアの機関>
- 台湾
- 台湾技術者教育機構(Institute of Engineering Education Taiwan)
- 中央研究院(Academia Sinica)
- 台湾大学、成功大学、中央大学など
- 韓国
- 大韓工業教育学会
- ABEEK
- 忠南大学校工科大学ほか
- シンガポール
- シンガポール・ポリテクニク
- シンガポール国立大学など
- ニュージーランド
- オーストラリア
8.おわりに―夢の共有を目指して
科学技術倫理を構築するための絶好の機会・機運を逃さないためにも、是非とも、我々と「夢」の共有をしていただきたい。社会のための科学技術を目指して、Philosopher-Scientists/Engineersの養成を行なっていきたいと考えている。
質疑応答・総合討論
1.アジア圏との共同研究
- アジア諸国との連携については、現在あがっている韓国、台湾など以外に、中国本土や香港とも連携すべきである。中国本土は、北京大学の科学技術社会学のセンター、応用倫理研究センターがあり、香港はワシントンアコードに正式メンバーとして加入しているので、そのあたりの情報収集が必要だろう。
2.社会技術の定義は何か
- 英語のScience & Technology for Societyが、概念を一番理解しやすい。
- 当該プロジェクトの助成機関である社会技術システムによる先日の「社会技術フォーラム」でも、明確にはならなかった。「社会を変えていく、社会により貢献できる形の技術」「常に社会を念頭においた科学技術」などという定義が考えられる。
- 社会に役立つ人文科学や社会科学も含めた知識。
3.研究倫理とは何か
- もともと、データの捏造とか論文の剽窃といった問題に関する行動規範という意味で悪い方向から出てきたもの。
- 従来、科学者の中に特に改めて教えなくても共有されていた倫理や行動規範を破る例が欧米や近年では日本でも話題になるようになった。
- 日本学術会議でも、研究上の倫理を構築していかねばならないという声明書が昨年出された。
- 国立大学の独法化に備えて、高等教育研究機関の研究倫理プログラムを構築しておくべき。
- 研究倫理においては、将来起こりうることを警察的に管理するよりも、設計するというかよりより方向に伸ばしていくことを目指すというという方向に、そのあり方が変わってきているように思える。「技術者が元気の出る、研究倫理」を目指したい。
4.企業の参加、企業倫理について
- 東京電力としては、自分たちの会社以外が中心的存在になるにしても、唯一の存在というのは厳しいので、他にもいくつか企業に入っていただけるという組織図の改訂版は好ましい。
- インテグレックス社は、企業倫理の調査・評価を専門としており、企業倫理の範囲での技術者倫理というのは扱っている。だが、技術者倫理の専門ではないので、どのようにどこまで貢献できるかを考えている。
- 日本の企業の多くは技術系企業であるし、日本の技術者の多くは企業に所属しているから、企業倫理は極めて重要かつ技術者倫理の土台ともなるもの。特に、金沢工大の学生たちは技術系の企業に就職していくのであり、その意味でも、企業倫理と技術者倫理が整合性が取れていることは重要であり、企業の方や企業出身者の協力は貴重である。
5.東洋的な倫理観
- 日本古来の倫理観の教育、例えば「利己的でなく他の人のために働く」といったことの教育も有効ではないか。
- 東洋哲学や倫理学を検討していくなら、東洋の思想を言語化できる東洋哲学専門家のプロジェクトへの参加が必要と思われる。
6.成果物について
- 普通、工学系等では、研究費をいただいて研究した場合に、その成果物は目に見えるものであるが、今回の成果物の性質は、そのような工学系のものと異なったものと考えていいのか。
- プラットフォーム、対話の場を作ること、教材、対話記録、教育できる人材、モデルや素材集が今回の成果物の中核と考えたい。
7.「公衆」とは誰か
- 「公衆」と「科学技術の実践者(科学者・技術者)」といった場合の、「公衆」とは具体的に誰と考えるべきか。
- 一般市民から、ECTM会議への参加者等を公募してはどうか。
- 公募は難しいかもしれないが、代わりにそのような問題意識をもつ科学コミュニケーションのNPOの方に参加いただくことを計画している。
8.倫理教育について
- 大学で倫理教育をすることが大切だが、幼少期からの倫理教育を考えていくべきではないか。
- ECTMで呼ぶ参加者の中に、倫理教育や道徳教育の参加者を入れてはどうか。
金沢工大の教員で、初等・中等の倫理・道徳教育の専門の先生がおられるので、ご参加いただくことを検討している。
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