建築
あなたは建築分野の大学院を修了し，かねてから就職先として希望していた地元の建設会社に幸いにも入社できた新入社員である．この会社は，高いデザイン性や省エネを比較的安価に実現する建築リフォームで業績を伸ばしている．あなたは，両親にとってただ一人の子どもであり，両親はあなたが地元に残り就職したことを本当に喜んでくれている．あなた自身も満足している．
今回新しく一級建築士である森本課長のグループに配属になり，長期優良住宅へのリフォーム事業を担当することになった．この制度では基準を満たすと200万円程度の補助金が支給されることになる．しかし，仕事を進めるうちに，このグループでは十分な検査が行われないままに認定申請書が作成されていることに気づいた．このことをそれとなく課長に指摘すると，これまで長年取引のある地元の施工業者とのやり取りの中で管理されているので詮索するなと言われた．不安は残るが，もし過去にさかのぼって基準が満たされていないということになれば，会社の存続にかかわる大きな不祥事へと発展してしまうだろう．
検査結果の確認は今のところ自分の責任範囲ではなく，ここで課長に従わずに独自に調査を進めようものなら，今後，課長ににらまれることは必至である．せっかく就職できたのだから，そのような状況に陥るのは避けたい．かといって，そのまま指示に従うことも専門家の一員として躊躇する．
もしあなたがこの人の立場ならどうするか．