ホー、ホケキョ。(おじいさんのアナウンス)
久しぶりに家族で泊りがけの旅行に出かけた。愛知県豊橋にある「のんほいパーク」(変わった名前だ)に立ち寄った。ジェットコースターなど遊園地施設もある。しかし、自然史博物館も中にあることからか、園内も自然を意識して残そうとしているようだ。入り口の植え込みには小鳥たちがたくさん隠れていたし、上手に鳴くうぐいすもいた。
園内を周遊するトレイン型自動車は、みんな65歳以上と思われるおじいさんたちで運行されていた。料金やコースを告げる声はのんびりとしていてほほえましい感じがした。スピーカはふつうのホーン型ラウドスピーカなのに。
サワサワ・・・・。ざわざわ・・・。
いよいよ大学の入学式。新入学生たちは神妙な面持ちで座っている。教職員がブラスバンドの音楽に合わせて入場し、壇上に着席すると指揮者が演奏を止める。この瞬間、保護者、教職員合わせて2000人を超えているのに、講堂を静けさが支配する。それは緊張感のなせる技だろう。ほのかに聞こえるのは、衣擦れのようなさわさわとした空気の小さな揺らぎだけ。
途中、携帯電話の着信音のひとつも聞こえてくるかと思ったが、そんなこともなかった。そしてすべての式次第が終了したとき、緩やかに緊張が解けて少しだけ会場がざわめくが、友達もきっと少ない中、喧騒にはならない。
(子どもたちの声)
今日は我が息子の小学校の入学式。大学と違って新入生は70人くらいしかいない。でも緊張感は同じ位なんだろう。子どもたちはキョロキョロしつつも体が硬い。体育館での式が終わり、教室で一通り初日にやることを終えて、最後にご挨拶。
「さ・よう・な・ら!」
元気な声はすばらしい。これからの学校生活が楽しいものであるように祈ってしまう。
だだだだ・・・。
教員の異動があって居室の工事をしている。ゼミ室のすぐそばなので、今日はじめてのゼミが何度か中断されてしまった。
ガタガタ、ガタン。(売り声)
スーパー雷鳥号にのって大阪へ。車内販売の女性二人組みが私の乗っている車両へやってくる。カートはドアの溝を乗り越えるときどうしてもがたがた言う。
A「コーヒーにー、サンドイッチはいかがですか?」
B「いかがですかー」
A「ビールにー、おつまみはいかがですか?」
B「いかがですかー」
年配の人(A)と若い人(B)との組になっていたのは、新入社員の研修なんだろうか。「キネマの天地」という映画で、有森也実が映画館の売り子役でやっていた「おせんにー、キャラメル・・・」と同じ伝統が生きているんじゃないかと思った。
バキッ。ギッ。トン、トン、ピーン。
庭に置いてあったベンチを壊した。今住んでいる家を建てたときに、余った材木とホームセンターで買った木材などで私が作ったものだったのだが、雨ざらし、日ざらしでぼろぼろになっていた。バールでくぎを引き抜こうとしても、錆びたくぎはなかなか抜けない。仕方なく、はみ出たくぎを曲げておこうとして横からくぎをたたくと、もろくなったくぎは、ピーンとはじけて折れた。
カンッ・・・、カンッ・・・・。(掛け声)
このところ、授業が始まったりいろいろ忙しくて、音日記を書いていない。とりあえず今日、まさに今聞こえている音はというと、すぐそばのグラウンドで高専生が野球の練習をしている音。絶え間無く規則的に響く硬質な音は、ノックの音。冬場はぬかるんだりしてひどい状態の地面も、春になってようやくまともに使えるようになってきたということだ。
<竪町商店街立体音響システム>ザー・・・。
新任の先生の歓迎会が片町であった。時間より早く着いたので、竪町をぐるりと回って散歩をした。この商店街は最近、デンオンの立体音響システムを取り入れて商店街全体に音楽が立体的に流れるようになっている。といっても1日中ではなくある時間帯だけのようだ。車止めがスピーカーになっている。一部は照明器具になっている。地面にも照明が埋め込まれている。街路全体をひとつの雰囲気にまとめてしまっている。
犀川のほとりの犀星の道に出た。時計を見ると6時半。暗くなるにはまだ間がある。花見客が大勢ブルーシートを広げてにぎやかになりつつある。桜が満開だ。堰を落ちる水の音はまちの喧騒の中に染み渡る。
ダダンダダンダダンダダン、ゴーッ・・・。
委員会で東京に出張。翌朝7:45発の飛行機に乗るため、羽田空港に近い糀谷の駅近くのホテルに宿泊した。列車の音が良く聞こえる。少し場末た感じがする。電車の音は気にならずに寝てしまった。
タン、タン、タン・・・・。
誰かが建物の外壁にボールを投げつけているようだ。いわゆる固体音なので、その音を発生させている本人はそれほど大きな音がしているとは考えていないのだろう。
直接その場所は見えないので、確認はしていないが何回もそういうことがあったので音を聞くとすぐわかる。張り紙か何かが必要かも。
バックします、ピー、ピー、ピー。
宅配便などのトラックはいつのころからかしゃべり出した。後方の見通しが悪いので、トラックの陰になって遊んでいる子どもが気づかず、事故になったことがあって以来だ。小さい子どもでも「バック」という言葉は日本語化しているのかな。
「左に曲がります。」はさらに後になる。こちらは自転車の巻き込み事故が起きて以来だ。次にしゃべる言葉は何だろう。
グェグェグェ・・・・。
今日は雨模様。少しづつかえるが鳴き出したようだ。このあたりでは、毎年ゴールデンウィークくらいになると田んぼに水が入る。水が入ると、かえるたちは一段と大きな声で合唱しはじめる。今年ももうすぐ、かえるの合唱の季節だ。
ガー、ガー、ガー・・・。ヴーシュ、ヴーシュ、ヴーシュ・・・・・。
家電製品の音は静穏化が進んでいる。掃除機や洗濯機など静けさを売り物にした製品も出ている。ただ、そういうものは値段の高いクラスのものがほとんど。
今日は朝から洗濯機が回り、食器洗い器がうなっている。うちはダイニングキッチンと居間との境に壁が無いので、食器洗い器は出かける前や寝る前にセットしたりしないとやはりうるさく感じる。洗濯機は別の部屋なので扉を閉めれば何とかしのげる。
エントリークラスの家電製品の音は、まだまだかな。
ジュイッ、ジュイッ。
春の陽射しが強くなるにしたがって、燕たちも飛び交い出した。時折、すずめよりも少し低く、歪みのあるような鳴き声をあげる。犀川では、本当にたくさんの燕が川面を行き交っているのを見た。羽虫の類を捕らえているのだろうか。
ブルルル・・・。グェ、グェ、グェ・・・。
ほとんどの田に水が張られ、田を掻き回す耕耘機が入っている。エンジンの音は乗用車の音と違って格段に大きく、ブルブルと住宅と田園の交錯した地域の静かな空気まで掻き回す。夕方には活動を再開した親蛙たちが盛んに鳴き出す。
ゴーッ。
鶴来町のパーク獅子吼という公園でバーベキューをした。自分のうちの庭でやったりする場合は、炭に火をつけるまでに相当時間がかかる。フーフー吹いたり、うちわでバタバタ扇いだりして、火力が強くなるまでに1時間くらいかかってしまう事もある。
この公園のバーベキュー広場はテーブルや流しなども完備されているので非常に楽だ。プロパンガスのバーナーでゴーッと炭をあぶると5分ほどで全体に火がまわる。
しかし、苦労無くして行うバーベキューは、自然の中の営みという感じがうすれてしまうような気がする。そういうのもちょっと惜しい気がしている。
ホーホケキョ。(スピーカからの由来や読経の放送)ガヤガヤガヤ・・・。カロン、カロン。カーー・・・ン。ドシャン、ドシャン。ピーピロピリパリピロピリパリ。
津幡町にある倶利伽羅不動尊へと出かけた。峠の頂にあるその場所へは国道8号線から細い山道を辿らなければ行き着く事ができない。ちょうど八重桜が美しい時期でもあり、多くの車が集まってくるので狭い道は交差するのが大変だ。
車を降りて歩いているとうぐいすが声高らかに鳴いている。小矢部の町が一望できる。しばらく階段を上らないと行けないが、所々にスピーカが据えられている。由来をアナウンスしているものもあれば、読経を流しているものもある。誰も聞きはしないものを、やめた方がどれだけありがたい環境となることか。
本来のままでも美しい音風景である場所で、そういうことが行われているのがしばしば見うけられる。つい、愚痴っぽくなってしまがったが、本当に残念である。
境内はいろいろな音に満ちている。大勢の人が詰め掛けているので、当然人ごみの喧騒があり、神社と同じ鈴がある。この不動尊で特徴的なのは、小さな(高さ20センチくらい)鐘がありカーンと一段高く鳴り響く。厄除け錫杖というものもあり、これで地面を突くと杖の上部に取りつけたたくさんの金属の輪がなる。地面を突くときの音も加わるので「ドシャン、ドシャン。」といった感じに聞こえる。
そのあと、内灘総合公園に遊びに出かけた。レンタサイクルを借りて海岸を走ってみた。浜大根の紫の花があちこちに咲いている。私の好きな野の花のひとつだ。
自転車で海辺の風にあたりながら走るのは最高に心地よかった。浜の茂みに巣を作っているのか、ひばりがたくさん飛んでいる。特徴のあるせわしない鳴き方で、いったい何を言おうとしているんだろう。