日中共同研究ワークショップ 2011

Collaborative workshop of China and Japan:

 

 

 

 

 

京都と中国の庭園サウンドスケープの比較

Comparison of soundscape between the gardens in Kyoto and China.

 

日本語

English

○ワークショップの趣旨

 

サウンドスケープ研究は様々な分野で進展しており、国際的な交流も行われつつある。今回は、日中の庭園および都市のサウンドスケープ研究を核として、サウンドスケープに関わる諸分野、庭園・ランドスケープ・土木・建築・環境・音楽学・音響学・社会学・教育学に関する専門家が交流し、両国の音環境・サウンドスケープの特質の相互理解を深めることを主たる目的としている。

 

庭園に関するサウンドスケープ研究は世界でも数少ない事例であり、両国の庭園において、音がどのように認識され、また取り扱われ、デザインされているのかを知ることは、五感の環境デザインを取り扱っていく際の一つの指標として重要な意味を持っている。また、様々な特性を持った市民の利用を考えた場合、都市空間や公園・庭園などにおける公共空間の音環境やサウンドスケープを考えることは、ユニバーサルデザインやインクルーシブデザインなど、新しいデザイン思想の実現にも資することが出来る。

 

特に、中国と日本の二国における庭園文化には、自然美・回遊性・借景・五感性など共通性が見出される。また、両国には庭園のサウンドスケープを専門領域とする研究者が存在するので、このような2つの国が協力して実施する庭園サウンドスケープ研究は、世界でも例を見ない動きである。サウンドスケープは、目に見えない「音の風景」を取り扱う専門分野であり、具体的な物を取り扱う分野ではないために、ともすれば軽視されがちであるが、東洋的な自然美や風致・風情の在り方を研究し、共有し、共感することは、両国間だけではなく、今後の芸術的感性の在り方にも影響する重要な問題だと考える。

 

今回のワークショップが、両国の研究者の交流を促進し、庭園のサウンドスケープに関する日中比較研究という画期的な研究を推進するに大きく裨益すると考えられる。またワークショップのうち、研究報告の部分については、公開のものとすることで広く一般社会に向けて情報発信を行い、我が国におけるサウンドスケープ研究の発展に資することを図るものである。

 

 

○ワークショップ概要

 

共同研究「中日における古典庭園のサウンドスケープに関する思想の源流と技術の変遷についての比較研究プロジェクト」における、初のワークショップとして企画されている。

 

・期 間  2011年 97日〜9

9/7 研究報告(一般公開)(日本サウンドスケープ協会 例会として開催)

    プログラム詳細は下記参照のこと。

9/8 庭園視察(一般非公開)

    桂離宮庭園をはじめとした京都の庭園視察。

    音に関連する庭園を訪れ、現地で庭園のサウンドスケープに関して討論する。

9/9 庭園視察、研究協議(一般非公開)

    午前中に詩仙堂など京都市内の庭園を数カ所訪問。

    その後、中国側の研究者が日本庭園に関するコメントを行い、全員で討論する。

    将来の協同研究に向けたLetter of Understanding の内容を協議する。

 

・参加者  庭園のサウンドスケープにかかわる日本と中国の研究者

 

・参加費  研究者としてのワークショップ参加費     25,000

 

 

○研究報告プログラム (サウンドスケープ協会例会:一般公開)

 

・日 時  201197日 9:3016:30

・会 場  京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス  人間館 地下1階 映像ホール

・交通アクセス  http://www.kyoto-art.ac.jp/other/access.html を参照

・資料代  一般:2,000円・一般学生:1000円・SAJ会員:無料・京都造形芸術大学学生:無料

・問合せ先 京都造形芸術大学 曽和研究室
        電子メール:sowastudio@gmail.com  ファックス:075-200-3728
        お問い合せはメールもしくはファックスのみ受け付けています。

 

・タイムテーブル                     司会進行:平松幸三  (以下・敬称略)

 

 9:00

受付

 9:30 9:40

「日中共同サウンドスケープWS開催に当たって」

 

平松幸三(京都大学)

 9:4010:10

「日本庭園の特質と五感のデザイン」

 

尼ア博正(京都造形芸術大学)

10:1010:50

「中国古庭園における時間のデザイン」

 

硕贤/Wu Shuo-xian(華南理工大学)

 

<休憩10分>

 

 

11:0012:00

「サウンドスケープ、中国古庭園における理論と実践」

 

/Yuan Xiao-mei(華南理工大学)   

 

<昼食 60分>

 

 

13:0013:30

「詩仙堂のししおどしと”静けさのデザイン”」

 

鳥越けい子(青山学院大学)

13:3014:00

「桂離宮および対龍山荘庭園の音環境」

 

曽和治好(京都造形芸術大学)

 

<休憩10分>

 

 

14:1014:40

「大名庭園の音風景 −兼六園と成巽閣−」

 

土田義郎(金沢工業大学)

14:4015:10

「前田治脩による兼六園翠滝の作庭指示」

 

栗山伴芳(京都造形芸術大学)

 

<休憩10分>

 

 

15:2016:20

「ディスカッション」

 

モデレーター:平松幸三

 

梅・鳥越けい子・土田義郎・曽和治好

 

 

16:2016:30

「今後に向けて」

 

硕贤/Wu Shuo-xian

 

 

16:4517:45

ミニ・パーティー(懇親会・参加費500円・至誠館学生食堂)

 

 

■庭園のサウンドスケープワークショップ(一般非公開)

 

 以下は一般非公開、参加研究者のみのプログラムとなります。

 

9 8() 庭園のサウンドスケープワークショップ(一般非公開)

•水琴窟と回遊庭園 妙心寺 退蔵院

•京都のランドスケープと嵐山のサウンドスケープ 法輪寺舞台〜渡月橋 解説:藤本全氏(法輪寺住職)

•鼓の滝と松琴亭 (しょうきんてい) 桂離宮 解説:寺内俊之氏(宮内庁京都事務所)

•明治の水景とサウンドスケープ 無鄰菴

•枯山水庭園 南禅寺 解説:加藤友規氏(京都造形芸術大学)

•坪庭と五感 田中彌 (人形店) の坪庭 解説:鈴木隆弥氏(デザイナー)

 

9 9() 庭園のサウンドスケープワークショップ (一般非公開)

•ししおどしのサウンドスケープ 詩仙堂 解説:石川裕之氏(詩仙堂副住職)

•水琴窟 円光寺

•比叡山借景とサウンドスケープ 円通寺

•今後に向けての討論会 京都造形芸術大学

 

○参加研究者

 

・中国(華南理工大学建築系学部から6)

Prof. Yuan Xiao-mei ()Prof. Wu Shuo-xian(), Prof. Xie Chun谢纯, Dr. Wu Yan(吴燕), Dr. Xu Zi-li 自力)Dr. Wang Shuo(王朔)

・日本(7)

鳥越けい子(青山学院大学)、平松幸三(京都大学)、土田義郎(金沢工業大学)、尼ア博正・曽和治好・栗山伴芳(京都造形芸術大学)、李偉(国際日本文化研究センター/日本学術振興会外国人特別研究員)

 

 今回訪日予定の研究者は「中日における古典庭園のサウンドスケープに関する思想の源流と技術の変遷についての比較研究」というプロジェクトの創始者です。その中で、吴硕贤教授は、中国で院士の称号を有する数少ない学者で、当該分野において全国的に著名な学者です。袁梅教授は、中国において初めて庭園のサウンドスケープ研究を行った新進気鋭の学者で、中国においてサウンドスケープ研究を本格的に行なっている数少ない研究者です。お二人は、2002年から中国において古典庭園のサウンドスケープ研究を着手し、中国における伝統造園システムにおいてサウンドスケープ研究の枠組みを初めて打ち立てました。この研究を中心とした論文シーリズも、中国国内および国際雑誌に掲載され、大きな注目を浴びています。またこれらの研究成果を『中国における古典庭園のサウンドスケープ』と題し出版を予定しています。2009年には、平松幸三教授をはじめとする日本側の専門家と連携し、中日における古典庭園のサウンドスケープに関する思想の源流と技術の変遷についての比較研究」という合同研究プロジェクトを継続実施しています。このプロジェクトは中国国家自然科学研究助成金(プロジェクト番号:50878085,51178188)と中国国家所属高等学校基本科学研究業務用助成金(プロジェクト番号:2011220015)により研究補助されています。

 

 今回の共同ワークショップは、この合同研究プロジェクトにおける最初のワークショップであり、これまで平松幸三教授、鳥越けい子教授が訪中し、意見交換するとともに、平松幸三教授は華南理工大学で短期集中講義を行うなど、相互の意思疎通を図ってきたところでもあります。

 

 日本側の参加者のうち、平松幸三教授は、音環境学の観点からサウンドスケープ研究を行い、フィールド調査を実施してきました。鳥越けい子教授は日本にサウンドスケープ概念を本格的に紹介した学者で、サウンドスケープ研究者として世界的な活動を展開しています。土田義郎教授は、都市計画の観点から庭園のサウンドスケープ研究を行ってきました。尼ア博正教授は小川治平衛(植治)研究の第一人者であり、文化財庭園の分野でも活躍しています。曽和治好教授は、桂離宮の音環境研究をはじめとし、造園学の領域でサウンドスケープ研究を手がけた数少ない研究者で、ランドスケープとサウンドスケープをつなぐ活動で実績を上げています。

 

主催:

日本サウンドスケープ協会

華南理工大学亜熱帯建築科学国家重点研究室

京都造形芸術大学 日本庭園・歴史遺産研究センター

後援:

()日本造園学会 関西支部

()ランドスケープコンサルタンツ協会 関西支部

京都府造園協同組合

助成:

中国国家自然科学研究助成金(プロジェクト番号:50878085,51178188)

中国国家所属高等学校基本科学研究業務用助成金(プロジェクト番号:2011220015)

協賛:

池内善兵衛園、植弥加藤造園()()西川造園、花豊造園()

協力:

詩仙堂、嵐山虚空蔵法輪寺、京人形田中彌

問合せ先:

京都造形芸術大学 曽和研究室

電子メール:sowastudio@gmail.com ファクス:075-200-3728

お問い合せはメールもしくはファックスのみ受け付けています。

 

 

チラシのダウンロードはこちらから → PDF

 

Last update: Monday, September 05, 2011 13:05