金沢歴史都市建築研究所

Institute for Urban and Architectural Studies of Historic Kanazawa

研究領域

歴史的建造物の調査

 城下町金沢は武家文化が基本であるところが、京都とは本質的に異なる特徴です。歴史的建造物としては武家屋敷と足軽屋敷が代表的であり全数調査を行いました。
 また、金沢城および寺社の遺構も、重要な歴史遺産です。さらに、近代西洋建築、近代和風建築の調査も行っています。


古地図の研究

 金沢の歴史的空間に関する研究においては、これらの単体建築の調査研究だけでなく、古地図の研究が不可欠です。この点についても長年にわたり城下町金沢の古地図の分析を進めています。その一環として惣構の調査も行いました。


ITによる空間情報研究

 城下町金沢の古地図の分析には、GIS(地理情報システム)の活用がきわめて有効です。古地図は科学的測量法に基づいていないため、精度の点で劣っており、そのままでは現代地図に重ねることは困難です。GISを用いると、現代地図上に古地図の位置情報を補正して正確に重ねることが可能となります。
 これらを用いて、IT企業と共同でAR(拡張現実)によりGPS(GNSS)の位置情報と連動して350年前の古地図を参照するアプリの開発や、CGによる城下町金沢の復原、火災シミュレーションなど、多岐に渡る分野での取り組みを進めています。


現代の都市・建築における研究・教育

 歴史的環境を現代都市の中で活かし調和をはかる空間デザインに取り組んでいます。
∅金澤町家等の歴史的建造物を良好に維持し活用するためには、改修や維持経営の手法が重要であり、戸々の歴史的建造物を再生して使用するための建築再生手法に関する研究にも取り組んでいます。
 その他にも、まちなかの活性化をアートで支援するプロジェクトや魅力に富んだ歴史的建造物と現代建築を紹介するパンフレットの制作、歴史的建造物の環境調整機能、金沢の都市構造が及ぼす熱環境や心理的効果などについて環境工学の面からも取り組んでいます。


社会貢献

 研究所として、新聞・テレビ・雑誌等の取材に応じて、金沢の歴史空間の魅力を広く社会に発信しています。
 文化庁の重要伝統的建造物群保存地区および金沢市こまちなみ保存地区の指定に携わるとともに、文化財パトロール等に協力するなど、文化財保護を支援しています。
 また、多くの研究員が、自治体等の委員会において委員を務めており、都市景観・住宅政策・歴史保存・文化財行政・都市計画・まちづくり・まち歩き・ボランティア育成・生涯学習等の広い分野で社会に貢献しています。
 さらに、学生が主役のプロジェクトとして、金沢市をはじめとする自治体や振興団体等に協力して、地域活性化に貢献する様々なプロジェクトを推進しています。


 以上の様に、本研究所は、歴史都市金沢をテーマに各研究員が専門領域を活かして進めてきた都市・景観・建築の学術的研究、各種プロジェクトや社会貢献等の成果や活動を統合し、相互に連携を図り、その成果を社会に発信する研究機関です。

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