研究成果

SQUID技術が実現した計測システム

超電導量子干渉素子・SQUID(Superconducting QUantum Interference Device)は超電導技術を用いた非常に高感度な磁気センサです。

絶縁体を超電導の金属で挟み込むことで、絶縁体の中にも電流が流れるという「ジョゼフソン効果」を利用し、量子力学に基づいて開発されたもので、高感度、高速応答という特徴があります。現在、その高感度・高機能化とともに、広い分野への応用が期待されています。

次世代・脳磁計測システムの開発研究と、それを利用した脳機能の解明

 脳や心臓などの神経や筋肉が活動するときには、必ず細胞単位でイオンや電子が出入りし、電流が流れ、磁場が発生しています。その磁場は、地磁気の1億〜100億分の1という非常に微弱なものであり、SQUIDが開発されるまで、それを計測することはほとんど不可能な状況でした。本研究所の脳磁計測システムは、SQUIDを利用した脳磁計と、磁気共鳴画像診断装置を連動させることで、脳の活動を画像として表示するシステムとなっています。これによって脳に影響を与えることなく、現在、脳がどのように働いているかを確認できるようになりました。

 脳磁計(MEG)と永久磁石型磁気共鳴画像診断装置(MRI)のデータを重ね合わせて処理します。

 

脳磁計(MEG: Magnetoencephalography)

SQUIDを用い、脳から出る微弱な磁場を計測・解析し、脳の神経活動の部位を観測する装置。脳波計やPETなど従来の手法と比べて、より高い時間的・空間的分解能で観測できるため、脳科学に新しい知見を与える技術として期待されています。

脳磁計(MEG)

磁気遮蔽装置(MSR: Magnetically Shielded Room)

高透磁率合金で多層に覆うことによって、微小磁場計測時の外部磁場雑音を遮蔽する装置。本研究所には脳磁場計測用の大型のものと、一般物理学実験用の小型のものが設置されています。

永久磁石型磁気共鳴画像診断装置(MRI: Magnetic Resonance Imaging)

原子核の磁気共鳴を利用し、人体の断層撮影を行う装置。脳磁計で推定された神経活動源の位置情報を併用することにより、脳の形状的なマッピングと、機能的なマッピングを重ねあわせることが可能となります。

 

超低周波アンテナの開発研究と、

 超低周波(ELF: Extremely Low Frequency)とは、1kHz以下の極めて低周波の電磁波のことで、海中や地中でも伝播するという特長があります。

 従来の超低周波アンテナは、電界成分を検出する方式のため大規模な装置が必要となっていましたが、本研究所ではSQUIDを利用することで、高さ1.2mのコンパクトな超低周波アンテナを実現しました。

 これにより地震・火山・資源探査や海中通信への応用が期待されている他、広範囲に設置することで広域地磁気観測システムを構築することも可能となりました。

 

広域地磁気観測システム(ELFA NET)
広域地磁気観測システム(ELFA NET)

elfacut.jpg

MT法 (Magnetotelluric Method)
MT法 (Magnetotelluric Method)

移動体搭載型システム (Mobile ELFA)
移動体搭載型システム (Mobile ELFA)

論文 "Three Axis SQUID Magnetometer for Low-Frequency Geophysical Applications " (IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 35, No.5, September 1999, pp. 3974-3976)
 

↑pagetop